sunrise 002
ねずみ
僕が重い足取りでゆっくりと歩いていたら
年老いたねずみがよたよたと走ってった
いやあれは歩くと言うのか
すぐにもろく溢れていってしまいそうな
足取りで
ねずみはドーナツくわえて
やっぱりよたよたとかけてった
まのすごい速さで
取り返されないように
自分よりも大きな宝を抱える力は
どこからくるのか
その気持ち悪いほどの生命力を
僕はただぼんやりと見つめる
鼓動が激しくなって
血管が膨張して
爆発しそうだ
それでも僕は
走らない
あのちっぽけな生き物のようには
走れない
作品名:sunrise 002 作家名:川口暁