机の上に残ったのは
「バーストだな」
男性の落胆した表情に対し、目の前に座っていた少女は笑みを見せた。
「私は、ブラックジャック」
少女は絵札とエースを机の上に放りだした。
男性は驚いた表情を見せると机に肘をつき、溜め息を吐いた。
「また負けたな。これで三勝十四連敗二引き分けだな」
「よく覚えているね」
少女は机の上に放り出されている四枚のトランプと山になっているトランプを合わせると混ぜ始める。
「それにしても刑事のあなたも暇人ね」
「暇が一番良いんだよ」
混ぜ終わったトランプの山から再び二枚のカードを引く。
「確かにね……」
少女も同じようにトランプに手を伸ばそうとしたが手を止めた。
「……どうやら事件の様ね」
渋い顔をしている男性はポケットの中から携帯電話を取りだして電話の相手と話し始めた。
「……行くか」
男性は手に持っているカードを睨みつけるように見た。
少女はトランプの山から二枚のカードを引いた。そしてもう一枚カードを引いた。
「こっちはいける」
「俺もだ」
少女は三枚のカードを机の上に放り出した。
「二十」
男性は笑みを見せた。
「ブラックジャックだ」
苦虫をつぶしたかのような少女は男性が出したカードを睨みつけた。
「じゃあ、現場に来て貰うからな」
「……わかった。行けば良いんでしょ」
男性が立つと少女もつられるように立ち上がった。
「でも、わかっているわね?」
「あぁ、お前は推理さえしてくれればいい」
「……わかっていればそれでよし」
少女は満足の表情を見せた。