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クレイジーハイスクール

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「お姉ちゃん、ネクタイ似合うよっ」

そう言われて私は自宅を後にした。


桜並木の道を、私は少し早歩きで歩いた。

辺り一面ピンク色。

今年は桜が開花するのが少し早くて、もう半分近く散っている。

そのせいで地面はまるでピンクのカーペットのようだった。


今日は青海高校の入学式。

中学のころはセーラー服だったのでネクタイは少し窮屈に感じる。

そんなことを考える一方、もう高校生なんだ、という不安もちょっとあった。

桜並木をずっと歩いていると、『青海高校入学式』とデカデカと書いてある看板が見えてきた。

「あっ!!杏奈!あんな~~~!!!!」

突然、何かと思った。

「髪の毛…、…前より短くなってたから…きっ気づくのにっ…時間かかった…っ!!」

全力で走って来たから息を切らしていた。

「美香!おはよう。」

「おはよっ!杏奈。お、制服似合ってんじゃん」

美香とは中学で親友になった。性格は極めてポジティブシンキング。朝からハイテンションだ。

「杏奈!実は昨日、」

これから美香の長話が始まりそうだったが、私たちは先生に急かされたので式場へ急いだ。



式場となる講堂の入り口に、クラスが表示してあった。

「美香、アタシD組みだ」

「ちぇ~、うちはA組みだよ~」

「違うクラスかぁ。…じゃあ、後でね」

入学式の間、私の頭は振り子のように振れていた。

だがその退屈な時間もようやく終わり各教室でHLが行われた。



出席番号順に席に座る。

私は小野村だから窓側の一番後ろ。左隣には誰もいない。

ふと右は誰だろう、と思って右隣を見た。


右隣は…男子だった。

私は男というものをよくわかっていない。

中学のとき、週に1回はコクられていたが、どの男も興味がなかったので

全員断っていた。というより男というものが嫌いだった。

男はすぐイライラする。人の話を聞かない。

あの人もそうだ。毎日お酒を飲んで帰って来る。そしてお母さんに暴力をふるってから言うのだ。

「金をよこせ。」

お母さんは働いている。

だがあの人は働いてもないのにギャンブルでがっぽがっぽお金を

無駄にしてはお母さんにお金を要求する。

あんな奴、二度と“お父さん”なんて呼んでやるもんか。


きっと隣にいる男子も同じだろう。

「なぁ、俺、柏崎蓮。よろしくな」

…。やつが私に向かって話しかけてきた。気がつけば、クラスの女子が全員ガン見している。

…なんなのよ。

私はその男を無視した。



「ねぇ!杏奈!うわさ聞いたよ!何やってんのさ!!!」

放課後、美香が怒鳴ってきた。

「あの学年一イケメンで成績もトップと言われている柏崎蓮から話しかけられて無視したんでしょ!?
ホント、何やってんのよ…」

「あいつそんなスゴイ奴だったんだ……」

だからあんなに女子にガン見されてたんだ。

てか、今日が初日だっていうのに、そんな情報どっから仕入れたんだよ…。

「とにかく、杏奈は中学のとき学校で一番モテてたんだから、明日は話しかけられても
自信もって答えていいのよ!」

え!!??マジ!!??学校で一番モテてたの!?



今日はいろんなことを一度に知った。混乱して眠れそうにない。

そう思った5分後、私は睡魔に襲われた。


作品名:クレイジーハイスクール 作家名:リリィ