イノセントワールド2
環境が変わっても、自分が変わらないなら意味がない。
馬鹿なあたしは高校にあがって、ようやく気付いた。
馬鹿で都合のいい女なんだって。
わざわざ女子高にいったのに、あたし何にも変われなかったよ、りょん。
いつか云ったらやっぱり穏やかに笑った。
しばらく見ないうちに、理央はますます大人っぽくなっていた。まだ、中学のころは、お互い様な部分もあったのに、今のあたしはただ理央に守られるだけのカルガモの赤ちゃんだ。
「りょん…」
手を伸ばす。
そっと理央の顔に触れてみた。大人の顔だった。
「あたしって、馬鹿だね」
「馬鹿じゃないよ。素直なだけ」
「馬鹿だよ。りょんの凄さに気付かなかった」
「凄さ?」
「守ってくれてありがと、りょんがいなかったらあたし今ごろ死んでたかも」
「うーん、よく分かんないけど、俺は多分江梨が思うほどすごい奴じゃないよ」
理央は困ったように笑った。
うん、多分あたしとまわりの人の理央の評価は全く違うだろう。理央はあたしの世話を焼くとき以外、ぼんやりしてたから。あたしの中で穏やかととらえられていた部分は、他の子に云わせるとぼんやりだった。
作品名:イノセントワールド2 作家名:おねずみ