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CROSS 第7話 『動向』

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 山口は司令室を出て、フロアの廊下に出た。そして、エレベーターに向かおうとした顔をエレベーターがある方向を見た。
「…………」
一人の妖精兵が山口を見ていた……。すぐに妖精兵は、
「山口山口を発見しました!!! こっちです!!!」
まるで「おまわりさん、こっちです!!!」のような感じで妖精兵が叫んだ。階段の方から、たくさんの妖精兵が山口に向かって飛んできた。妖精兵たちの後ろからメイドがナイフを数本構えながら走ってくるのも見えた……。
「ヤバい!!!」
山口は舌打ちして叫ぶと、反対方向に向かって走り出した。
 廊下を歩いていたり、何ごとかと廊下に出てきた司令部の職員や兵士たちで、妖精兵やメイドたちは時間を食っているようだった。幸いにも山口が走っている方向には誰もいなかった。
 しかし、山口が走っている方向は行き止まりで、一面ガラスがあるだけだった。もちろん、一面ガラスの向こうは何も無い空中である。今さらだが、司令部はなんと82階建てで、このフロアは77階だった……。マトリックスでもない限り、落ちたら即死である……。
「クソ!!!」
その時、何かが高速で空気を切る音がしてきた。その音に山口は一瞬で反応して、体を横に避けた。

   シュン!!!

 数本のナイフが後ろから飛んできた……。そのナイフは山口のすぐ横を飛んでいくと、山口の前方にある行き止まりの一面ガラスを粉々に割った。空気圧の関係で、このフロアの空気が風とともに外に流れ始めた。
「殺す気か!!!」
山口は後ろを振り向いて怒鳴った。メイドが服の中から新しいナイフを抜いていた。飛んできたナイフは、このメイドが投げたものだった。
「その本を返しなさい!!!」
メイドが叫ぶ。本気の表情だ。
「見せるだけじゃなかったのかよ!!! 誰が返すもんか!!!」
山口はそう怒鳴ると、割れた一面ガラスから空中に飛び出した。
 山口が空中に飛び出した次の瞬間、一面ガラスが自動修復機能により、元の状態に戻った。追いかけてきたメイドや妖精兵たちは、そこで立ち止まって、落下していく山口をポカンと見ていた……。


「あったあった、この魔法だな」
山口は落下しながら魔法書を読んでいた。落下しながら本を読んだりできるのかというツッコミはやめておこう……。山口は何かの呪文を魔法書を見ながらつぶやいた。
 すると、山口の落下スピードがどんどん弱まり始めた。そして、地上に到達するころには、ほとんど落下が止まっていた。山口が使った魔術は、パラシュートのような効果があるものだった。