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CROSS 第7話 『動向』

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「そこにいるんでしょ」

 少女はエレベーターの近くの壁に向かってつぶやいた。その壁はどこにも不自然な点は無かった……。

 しかし、なんとその壁の中から山口がゆっくりと抜け出てきた! 山口は『壁抜け』の魔術(魔法)を使ったのだ。山口は魔法書を眺めながら、
「よくわかりましたね?」
「だてに何百年も生きてないわよ!」
「でも、あのメイドさんにバレなかったぐらいですから、強い魔術、
 いや、強い魔法ですね」
山口は魔法書のページを指さしながら言った。
「大事にしなさいよ」
「ええ、ありがとうございます。それじゃ、失礼します」
山口はそう言うと、階段から下に降りて行った。少女は、貴賓室に戻っていった。



 山口は次に向かう司令室があるフロアを歩きながら、もらった魔法書を読んでいた。その魔法書の題名は、『ゆとりでも使える魔法』
と書かれていた……。
「この魔法は帰るときに使ってみるか」
山口は独り言をつぶやきながら司令室に向かって歩いていた……。このフロアに妖精は一人もいなかった。
「遅いじゃない!!!」
突然響いてきた怒鳴り声に山口は驚き、魔法書から顔を上げた。
 声がしたほうを見てみると、司令室の前に一人の女性が山口を睨んで仁王立ちしていた……。その女性は、あの女司令官だった。山口はさらに驚き、魔法書を閉じて脇に挟むと、女司令官のほうに駆け出して向かった。
「いやぁ、ちょっとスカーレットさんとの話が長くなりましてね」
山口は天井を指さしながら言った。
「あら、そう。それじゃあ、これから私が何を話すかはわかっているでしょうね?」
女司令官はそう言うと、司令室の中に入っていった。
「『デモンズソウル』の世界に行けっていうんでしょ?」
山口も続いて司令室に入りながら質問に答えた。間にある秘書官室には誰もいなかった。女司令官は自分の机についた。机の上の書類の山は、前に来たときよりも増えていた……。
「そう援軍としてね」
女司令官は無害タバコに火をつけながら言った。
「また同じ任務ですよね……」
山口は女司令官の後ろにある一面窓から下をのぞきこみながらつぶやいた。入口にある車の乗り入れ口には、先ほどと同じようにリムジンが止まっていたが、その周りにいる妖精たちの動きは慌ただしかった……。何人かの妖精兵が司令部の中に入っていった。