シルバー・ラビリンス
プロローグ 迷宮の始まり
暗闇。静寂。
何もないと言われがちのその空間には、それがあった。
誰も知らない。誰も訪れない。誰も――
「違う。違う違う。違う――」
少女の声が響いた。
暗闇の中に、静寂の中に、それは響いた。
「さみしいよ。悲しいよ。ねぇ、ねぇ……遊ぼうよ。」
青と緑と赤の混じった、不思議な光が浮かびあがる。
その光に照らされた、少女の横顔。
言った言葉と裏腹に、少女は――
笑っていた。
不思議な光は、そこから暗闇を奪った。
不思議な光は、そこから静寂を奪った。
代わりに、そこに「光」と「闇」と、その「狭間」を生み出した。
「光じゃないの。闇じゃないの。どっちとも仲良くなりたい。独りは嫌だよ。」
作品名:シルバー・ラビリンス 作家名:アリス・スターズ