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フレンドボーイ42
フレンドボーイ42
novelistID. 608
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短編家「ルービックキューブ」 文化部集合系

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 僕が初めて彼にあったのは昨日だというのに彼女は彼との面談を頼む。おいおい。そりゃあむちゃくちゃだよ。…などと言ってやりたいのだが、彼女が聞くわけもなく、っていうですねぇ。
 「彼が部長なんだよ」
 はいはい、そうですか。数学を愛するものが作ったという訳の分からん部活に参加するほど暇じゃないんですけどねこっちは。
 「彼にこれを提出すればはれて正式に部員だよ」
 「…どうみてもさそう相手を間違っているでしょ。僕は誰だと思っているんだ…文芸部だよ」
 「なんでよ…そんなに幾何部はだめなんですかね?」
 「代数部がある訳じゃねえんだろ」
 「あるけど休部中だよ。部長が変死しちゃったからね」
 そんなのを簡単にきかせられることに僕はなれていない。部長が変死したって?
 「本当に代数部は嫌みな奴の集まりだったからうれしくってしょうがないって言うか?なんかもう救われた気分だよ!ただうちの部長だけはブルーでね…」
 「…で」
 「もしかしたら新入部員が入ったらにっこりしてくれるかも、的な」
 「ないでしょ」

 #

 「よ」
 「あ…田南部」
 「おまえ、幾何部に誘われたんだって?あのへんちくりんな連中の集まりに」
 「おまえの科学部と鉄研もへんちくりんだろうが」
 「文芸部には負けるよ」
 「…漫研の西原がまさか幾何部だったとはね」
 「かわいいのにもったいないよね」
 「へえ、科学にしか興味ないもんだと思ってたよ。女を好む目もあったのか」
 「嫌みかい」

 #

 「こっちが部長の東原君」
 なんで西原が副部長で東原が部長なんだ。
 「で、あそこで踏ん切れてコーラ飲んでるのは何なの」
 「あ~知りたいよね。あれは代数部の南原さん。副部長とか言っているけど実質二人で副部長と言われてもね」
 幾何だって俺が入らなければ2人だったじゃねえか。
 …あきれいった。
 「どこいくの」
 「委員会。これ部長と顧問に渡しといて」
 出したくもねえ入部届けを出して去る。

 #
 漫研・鉄研・書道・美術・工芸・茶道・文芸・科学・論説・オカルト・幾何・代数・吹奏楽・合唱・料理・囲碁将棋…これらすべて文化部という奴だ。これを一手に仕切っている一種の同盟みたいな委員会が存在する。それがうちの委員会だ。ズバリ、文化交流委員会。ほかの学校ではもっとちゃんとした委員会で、やっているのも学校同士の交流会やボランティア清掃だというのに、うちの学校はどうしてこうなった。ここがあるおかげで明確な部室もないほとんどの部活が存続できている。
 というか、設立者兼委員長は実は僕だ。
 「新聞部に軽音楽部ね…部員規定数は」
 「もう良くないっすか?どうせほとんどそろってねえし。だいたい所属してしまえば文化部はオッケーでしょ。フリーダムっすし」
 「…そうだね」
 こんな適当だからだいたいの文化部は活性化してないのかもしれない。テコ入れしようかな。
 「やるなら文化祭を復活させないと」
 「ですよねー」
 後輩の宮下くん、そして僕がここにいる。
 「渡辺委員長」
 「なんだい」
 「…代数部なにがあったんでしょうか」
 「…しらない」

 #

 幾何部でルービックキューブを回し続ける部長。そしてへんてこりんな図を描き続ける西原。
 ふときがついて、四角をたくさんなら下手なかに三角形を描き、次に平行四辺形をにた感じに並べて対応する位置に三角形を書いてみた。突然西原が来る。
 「本当に文芸?アフィン変換じゃん」
 「マフィン変換?」
 「アフィン変換というのは、本来直交座標系にある図形を、斜交座標に写し変える方法よ」
 「…」
 要はベクトルを変えて同じ式を示したらこうなりました的なテクニックじゃねえか。
 「そういうこと。変えたらこうなるっていうのを考えるとパソコンにもつながるというか」
 そのうちコンピュータ部でもできるんじゃないか?

 #

 結局代数部の北原が誰に殺されたのかは不明のまま。東原部長は相も変わらずルービックキューブをしている。

 「数字と線による芸術を好かないといいのならば立体と平面の美を示すところだったがな」
 「…へ?」
 「君は、文芸だったね」
 「まあ」
 「部長によろしく伝えといてくれ。…数学は物語だと」
 「いや、いったい何でまた」
 「君は数学、好きかい?」
 「僕理系志望ですよ?好きじゃないわけないじゃないですか」
 「それなら、それでいい」
 「はい?」
 「部長の彼は正直数学を理解してほしかったなあ…そのまえに北原は死んでしまったけどな」

 第一容疑者…決定。