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恋情/矛盾/欲望

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第3章 欲望/愚者




「帝人先輩は愛おしそうに遠くを見つめていることが多いんですよ」
俺達と話しているというのにね。
帝人は何かに恋焦がれて、ダラーズを自分の望む方向に軌道修正しようとしている。
自分のためじゃない。
何かのために、誰かのためにダラーズを良くしようとしている。
あんなに大勢の集団を、1人のために変えようとしている。
そして、その”誰か”が紀田正臣だと理解した。
青葉は理解してしまった。
それが帝人の恋心からの行動だということも。

青葉のしていることは帝人の恋の手伝いだった。
そう理解したときの青葉の絶望感を、悲壮感を出来るならば帝人に伝えてあげたい、と青葉は思っていた。
しかし、それと同時にどうやってもそれは無理だと理解している。
言葉では説明できないものだから。青葉の激情はきっと上手くは伝わらない。


青葉の帝人への感情は最初は単純な興味だった。
ダラーズの創始者というその存在。
その記号が興味を抱かせた。

顔を見て、その平凡そうな雰囲気にますます興味を持った。

そして、普通じゃない部分を見て異常な興味を持った。
知りたい知りたい。どんな風に行動するのかじっと観察していたい。誰よりも近くで見ていたい。

自分の撒く火種でどんなことを思ってどんなリアクションを取ってくれるのだろうか。
それを思うだけでゾクゾクする。

青葉が帝人に対する感情が興味だけじゃないと気付いたのは自室だった。

自室で自分自身を慰めていた時だ。
ノーマルなエロ本を見ていたはずなのに、青葉が目を瞑った先には帝人がいた。
目を閉じてそこに居る帝人を追いかけて興奮し高揚し達した。

息を整えながら、自分が帝人に欲情していることを知った。
それは淡い恋心なんてものじゃない。
ただの欲望だ。
欲望の塊が心の奥底に燻っていることを自覚した。

それからは、帝人を自分のものにしたくて自分が帝人のものになりたくてたまらなくなった。

そればかりを考えていた。
欲情していた。

青葉が帝人を見ていて気付いたことはいくつかあった。
たまに遠くを愛おしそうに見つめていること。
杏里といるときは楽しそうだけれど、誰かもう1人居そうな雰囲気になること。
世間話での「僕の幼馴染で~」というセリフの多さ。

全て全て紀田正臣のための行動だ。
帝人はまだ慣れていない。
紀田正臣が自分の隣に居ないことに。
諦めていない。
自分が紀田正臣の傍に居ることを。

彼女と一緒に去った奴のことなんて忘れてしまえばいいのに。

紀田正臣はブルースクエアを憎んでいる。
きっと許すことは無いだろう。
それは確信に近い予想だ。許すところなど、思い浮かべることも無い。
前にやったこともそうだけれど、今現在帝人を変化させてしまっていることも知ったとしたら、許すはずも無い。

紀田正臣が憎んでいるブルースクエアを利用して、紀田正臣のためにダラーズを改変しようとしている。
好きな人のために、知らずに彼が憎んでやまない組織のトップになる。
それで当の彼はどう出るのだろか。
帝人を憎んでくれないだろうか。
嫌ってくれないだろうか。
こっぴどく振ってくれないだろうか。

帝人はそれで傷ついてくれないだろうか。
そんな帝人につけいれられるだけつけいれてみせる、青葉はそう考える。
紀田正臣の居場所。
今は空いているその場所を自分で埋めてはくれないだろうか。
その場所は帝人の絶対的な信頼を受けられる。
ずっと隣に居ても邪険になんてされやしない。むしろ笑顔で受け入れられる。
仲の良い人にしか向けられない辛辣な突っ込みを受けられる。

そして、帝人の愛を与えられる。
欲望を伴ったその愛情を。恋情を。

その場所はなんて甘美な場所だろうか。
自分から去るなんて青葉は考えられない。一度その場所に座ることを許されたなら、自分なら何があってもどかないだろう。
早く居ることを許されたい。そのためなら何だって出来る。


今日も今日とて、愛する人のためにダラーズを良くする活動をする。
少しは自分を見てくれることを期待して。


そんなことを思って想って、重い毎日。

とうとう青葉は帝人に告白をした。
たった一言「好きです」と。

シンプルな告白、二人きりの倉庫。
あつらえた告白シチュエーション。
それなのに帝人は全く本気にしなかった。

これ以上なく、あなたを愛している人からの告白なんですよ?ひどいなぁ。青葉は苦笑しながらそんなことを考えた。

帝人は、青葉が本気だとは露ほども思わず、「だったら抱かせてよ」と言った。

その言葉は青葉にとっては、願ったり叶ったりのことだった。
よって、青葉は当然それを受け入れた。
どうして断る必要なんてあるのだろうか?
あるわけがない。最近はそれを望んで、それしか考えられないくらいな生活を送っていたのだから。

しかし、青葉の本気に気付いた帝人は好きな人が居るからと謝ってくる。

帝人の謝罪など青葉には関係なかった。
やだなぁ、知ってますよ?知ってるに決まってるじゃないですか。
あなたの恋慕など。お見通しですよ。
だって、あなただけを見て過ごしているのだから。
少年は歪んだ笑顔を心に仕舞い込んで帝人の好きな人の名を帝人に言い渡した。

わかりたくないものも理解してしまうんですよ。
あなたのことはなんでも知りたいと思った結果がこれですよ。
なんて愚かなのだ。
俺も、そしてあなたも。


作品名:恋情/矛盾/欲望 作家名:彼方