ただ叫ぶ。
置いて行かれそうでとても怖いけど。
あー!
あーー!!
あーーー!!!
「うるせぇ、なんだよ?」
「なんでもないよ、」
「なんでもない訳あるか!!」
君の横。
立ち止まる僕。
歩みを決して止めない君は。
何を思うの?
あーーーー!!!!
「…ってなんなんだよ、お前。」
「なんでもないよ。」
「なんでもないなら叫ぶな!!」
困ればいい。
怒ればいい。
その間、君は僕のことを考える。
僕のことだけ考えてる。
「意味わかんねー。」
僕の表情を読み取ることが出来ない君は。
僕より先を歩き出す。
どうすれば止まってくれるのかな?
振り返れなんて君の邪魔になるようなこと言わないから。
ただ止まってくれればそれだけでいいから。
あーーーーー!!!!!
思いを口には出来ず、ただ叫ぶ。
君に伝えることが出来ない言葉を心で叫びながら。
「馬鹿、いい加減にしろ。」
「…ごめん。」
好きになってごめん。
友達じゃ満足できなくてごめん。
「泣くなよ、」
「…ごめん。」
「笑えよ。」
「…うん。」
君はそっと僕の頬を叩いて
「それでいい。」
と少し寂しそうに笑った。
僕の気持ちを誰よりも理解してる君は。
やっぱり僕より先を歩き出す。
どうすれば止まってくれるかな?
君の後姿を見るたび考える。
でも今は。
今だけはそのまま止まらずに前へ進んでください。
君が触れた頬が信じられないくらい熱くて。
熱くて。
涙が止まりそうもありません。
君が好きです。
(完)