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フレンドボーイ42
フレンドボーイ42
novelistID. 608
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藍染思案・鉄屑収集

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工場の機械の勢いのせいで時々鉄が飛び散ることがあって、それを拾い集めるのが藍染思案(あいぞめしあん)の仕事だった。拾い集めてはまた溶鉱炉にぶち込み、ぶち込んではまた溶鉱炉に入れる鉄屑を拾う。
 給与はそれほど良くなかったが、このご時世に食いつなぐ職があるだけでもまあ良しとしよう、そう彼は考えていた。別にPCさえあれば作品を発表できる。
 彼はドット絵での画才は顕著で、それでSNSにおいて有名な存在だった。まさかだれもその本性が単なる工場労働者だとは思うまい。
 ネットでは皆知らぬふりして生きている。なにもかも知らないふりをして、知らないと関知しないと職についてはほぼタブーとなっていて、それが思案の熟慮するところでもあった。
 工場労働者とは知られてはいけない。
 それは、人はその人の人格をみてはなすわけではないと気づいたから。人は、その人の肩書きと会話しているんだ、と。
 女性はたとえば自分の体を見せる商売をしていることを知られてはいけないし、男は男で893や派遣労働者であることを知られてはならない。それを隠してネットに入り込むのが彼らの義務というか定めというか…。
 彼は隣人がそのSNSに登録しているなどこの時点で気づくよしもなく。