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夏の日の話。

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雨が上がる。。。
梅雨も終わり今年も夏がやってくる。
中学最後の夏。。
ウル●ラマンになることを夢を見ていた俺はもうここにはいない。。
今年の夏こそ、、挙動不審を卒業、、そして立派な夏男に生まれ変わってアイツの度肝を抜いてやる!!!
俺はそう心に誓って、小さなガッツポーズをする。

そう今日は待ちに待った逢引(デート)の日。
この日のために新調した黄色のタンクトップで自慢のボディを見せてドキドキさせてやる☆
そろそろ行かないと待ち合わせに遅れる…急ごう。。。ん?待てよ、、、

1.待ち合わせより早く集合場所に着く=いかにも心待ちにしていた=ちょっと情けないイメージ
2.待ち合わせピッタリに集合場所に着く=「今来たところ」「あ、俺も」 笑=ちょっといい感じ
3.待ち合わせに遅れてしまう=「やめて!!離してよ!!」アイツが不良に絡まれてる!!=「その汚い手どけろよ。」「あん、お前何様のつもりだよ?」「俺は・・・」
不良との戦い=死闘の末、俺の勝利=「俺は、コイツの恋人さ!!!」「カズ君(ポッ)」=ゴールイン

うん!!!この選択肢なら断然、三番だな。。。よし、ちょっと遅れていこう。。

かなり遅めに出発。。しかし考えたら不良なんて今時いないよな?いても俺、弱いから実際勝てないし(苦笑)
やばい、、これじゃアイツに怒られるかな?ダッシュで行こう!!!何かに向かって走る男はかっこいいよ、、うん。

アイツとは駅前で待ち合わせ。。ありきたりだけど一番シンプルでいいってアイツが決めた。俺はお前の意見ならなんだって賛成。
駅前に待ち合わせより15分遅くれて到着…何か騒がしい。。人を掻き分け騒ぎの中心を見ると…
嘘だろ!?
アイツが不良にからまれていた。。。
何で今のご時世、不良がいるんだ???
ヤバイ、やばすぎるから、、、、、、
俺はとりあえず、人ごみにまぎれる。。。
「ちょっと離してよぉ!!」
アイツの声がする。。俺の助けを待っているに違いない、、、
でも、俺は弱い。。。
弱い俺はかっこ悪い、、アイツを助けたくても恥をかきたくない。。
「やめてって!!」
アイツの声。
無理だよ…俺にはあんな、中途半端にメッシュいれてる髪の毛で図体のでかい男には勝てっこない。。。
俺には無理。。。無理、、無理。。。絶対無理。。。
「離せよ!!!」
バシッ、すごい音がした。。人の影から様子を伺うとアイツが不良を殴り飛ばしたらしい…
よ、余計なことを!!!不良のあの顔見てみろよ、、あ~あ、、、もう富士山大爆発した跡の空模様みたな顔してる。。
アイツ半殺しじゃすまないよ。。。
「てめぇ…」
不良が拳を振り上げているのが目に入る。。俺は
俺は思わず目を反らす。。。
アイツの顔にその拳がぶつかる数十秒の間、俺の中に色々な言葉が溢れてきた。。
この臆病者。。何が夏男だ、、、キモイ、大好きな人も守れないでほんとにかっこ悪い。。。卑怯者
いくじなし、、、ださい、キモイ、、臭い。。。ペットボトルの分別もできないのかよ?
根性なし!!キモイ、夢みすぎ、、、モー娘。では辻ちゃんが一番。タクシーの運転手をなめるな…キモイ
俺は、、、

自分が情けなくなった。。
好きな人の前ではかっこよくありたい。。。
かっこよくなくちゃいけない、
けど、俺、弱くてもお前を守りたいよ。。。弱い俺でもいいかな?
かっこ悪い男でも認めてくれるかな?
…認めてくれなくても、弱虫って馬鹿にされても、それでもそれでも俺はお前だけは、守りたい。。
守りたい

気がつくと俺は不良とアイツの間に飛び出していた。。。





それからどうなったかは覚えてない。
今、目が覚めたら目の前にアイツがいた。。。
「カズヒコ、、大丈夫?」
「け、慶介???おぉまえ、なんで??痛っ」
慶介に気を取られ忘れていた痛みが戻ってきた。。。ほっぺた痛い。。
「痛いに決まってるよ、、、倉持に殴られたんだもん。。。」
そういうと慶介は消毒液を俺のほっぺたにつける、、、
「ひ、ひたひ、ひたひよ、けへすけ(痛いといいたい)」
俺の悲鳴を無視して慶介は消毒液を思いっきり押し付ける。。。痛すぎる、、、そこに愛はあるのかい??
慶介は何も言わずに黙々と俺に治療を施している。
「ありがと。」
と、突然の慶介の言葉。。
一瞬、止まった。。俺の心臓(ハート)
「え?」
もう一度、その言葉を聴きたくて俺は思わず聞き返す。。。
が、
しかし。
「ばか、」
「え?」
「馬鹿だよ。。カズ君は大馬鹿。。。」

そこで慶介は笑う。俺の好きなちょっと照れた笑い方。。

その笑顔は慶介は俺のこと、見捨ててないってコトだよな?手当てしてくれたし。。。
良かった。。もう少し側にいてもいいんだ。。。



中学最後の夏。
初めての逢引(デート)は失敗に終わったけど俺を少し強くしてくれた。。。
来年の夏、また一緒に笑っていられるといいな…




(完)
作品名:夏の日の話。 作家名:吉澤。