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楡原ぱんた
楡原ぱんた
novelistID. 10858
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縷々綿綿

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「罪は罪を生み罪を消す。人は罪を裁くために罪を消すために人を殺す。人を殺した人間を人が殺す。殺しの連鎖。何て不毛。その罪を消したって、日々罪は生まれる。永遠の螺旋。」

「じゃあ、どうやったら罪は生まれない?」

「生きている限り罪は生まれる」

「やっぱり死ねというのか?」

「だから、それが螺旋なんだ。生きているから罪は生まれる。死ねば罪は消えるのか? 答えは「いいえ」だ。死んだって罪がそこにあったことは残る。そして記憶が薄れれば、罪は消える。でもその罪の被害者は罪を鮮明に記憶している。だから罪は消えない。いつまでもその罪は残る。――死んでも生きても、生きても死んでも罪と共にある。だから咎を背負う」

「罪は消えないなら、天国はないのか?」

「さてね。死んだことはないからわからない。ただ、」

「ただ?」

「死んだらもうそこに楽園はない。あるのは虚無だ」

「天国も地獄もないのか」

「天国か地獄か。はたして、それを感じるすべはないんじゃないか。だって死んでるのだから。死んだ先に何を望むのか? 魂だけなのに、暑い寒いと感じることができるのだろうか? 身(たましい)を包む皮(からだ)はもうないというのに?」

「ふむ」

「話がそれたか。まあ、答えはないよ。人の永遠のテーマじゃないか。「生死」なんて常に隣り合わせだからな」

「明日、死ぬかもしれないしな」

「その発想は実に愉快だ。そして極論だな」

「極論だろ? 「生きるか死ぬか」なんだから」

「そうだな。でもそれに当てはまらないものもあるな」

「何」

「たとえば明日からのテスト。「生きる(満点)か死ぬ(零点)か」なんてありはしないだろう」

「それこそ「生きているようで死んでいる(五十点)」かもしれないしな」

「その逆も言えるな。「死んだように生きている(五十点)」とか」

「まあ半分とも定まらない」

「とりあえず、どうあがいても、「存在証明(評価)」はついてまわる」

「観念するしかないか」

「「途中棄権(死ぬ)」なんていつでもできる。が、「進化(生きる)」はその時しかできない」

「世の中難しいな」

「つまりは、力戦奮闘するしかない。罪と一緒にな」

「消えないし消せないなら、仕方ないな」

「ふふふ、足掻け。苦しめ」

「何を言ってんだか。お前もだよ」

「私はそれを楽しんでいるんだから、勝ち組だ」

「なら負け組か。俺はどうせ「生きているようで死んでいる」あるいは「死んだように生きている」だよ」

「それはある意味、丁度いいんじゃないか。「進化」するのには」

「「進化」できるのか?」

「「進化」できるんだ。「途中棄権」しなければな」

「そうかい」

「たぶんな」
作品名:縷々綿綿 作家名:楡原ぱんた