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【DRRR】月夜の晩にⅠ【パラレル臨帝】

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4.ウサギ見つかる昼間



[お前が幼児を誘拐して、連れ回していた、という情報が入ってな]
「まあ、いろいろ巡り巡ってその噂の真意を確かめた上で子供の解放を求めろ、というのが今回の私たちに与えられた使命というところだね。全く、君が子連れだなんて、古往今来聞いた事がないよ!まさにこれこそ青天の霹靂!荒唐無稽な話のようだねえ」
[だが、目撃証言があるんでな。調べさせてもらうぞ]

白黒夫婦が揃って何かと思えば、人の家に上がりこんで誘拐犯だなんて。
しかも人外の存在が影を勝手に伸ばして調べようとし始めるし。俺は正面きってこの運び屋が嫌いだと言ったことはないけど、こういうタイプの人外な生き物は興味が湧かなくて反吐が出る。

「ちょっと待ちなよ、話し合いにしない?勝手に探ってもらっちゃ困る書類とかも結構あるんだからさ」
[じゃあまず、この子供用の靴と服について申し開きしてもらおうか]

セルティが差し出すPDAの横に、影が引っ掛けてきた帝人用の衣料品が浮かんだ。
やはりこの2人に隠し通すことは無理そうだ。教えたくはないけれど、特に隠しておくことで何かプラスになるわけでもないし、首なしを見た時の帝人の反応も気になる。
臨也は少しだけ心の中に正体不明のわだかまりを感じながらも、奥の寝室で息を潜めているはずの子供の名前を呼んだ。

「帝人くん、ちょっとこっちに来てくれる?」
「!?……あの、臨也さん、本当に大丈夫ですか?」
「大丈夫。俺の昔からの知り合いだよ、危険なことはない。それに君のことは俺が守るから、ね」

臨也のセリフに、セルティは全身に寒気が走ったように両手で腕を擦り始め、新羅に至っては笑いを堪えきれずに噴出した。
居た堪れない反応をされながらも、臨也は手招きして、寝室からわずかに顔を覗かせた帝人を呼び寄せる。自分が外出用の買い与えたフード付きの服にしっかりと耳を隠して、少しばかり警戒した歩調で近づいてくる様子はまさに小動物だ。しかし昼間だから眠たいはずなのに、帝人は新たなニンゲンの存在におっかなびっくりしながらも、目だけは爛々と輝かせている。
なんだか、面白くない。

「ええと、……本当に子供が出てくるとはね……」
[どこの子なんだ!?お前、まさかとは思うが、本当に誘拐してきたのか!?]
「あのねぇ、俺が好き好んで子供を誘拐して来ると思うの?俺は人ラブ!だけど反応が直接的で葛藤がなくてつまらないし、扱いが面倒な子供なんて、俺の興味の対象じゃないんだけど」

とりあえず全員ソファーに腰を落ち着けるが、主にセルティがあわあわと興奮していても立ってもいられない様子だった。可愛いものが好きな普通の女みたいな反応をする彼女のことだから、この愛くるしい帝人を前に、母性本能でもくすぐられたのだろう。デュラハンが母親になることがあるのか以前に、母性本能が存在するのならば、の話だが。

[おなまえは?]

全身黒のライダースーツでフルフェイスヘルメットという奇怪な姿にも怯えた様子のない帝人に、セルティはすっかり心を奪われたのか、少しファント大きくした状態で彼の前にPDAを差し出した。
しかし、帝人は初めて見るPDAに戸惑い、そして臨也を見上げる。

「ああ、名前は?って」
「あ、すみません。まだ平仮名がいまいち読めなくって。ええと、僕は帝人と言います」
「そう、初めまして帝人くん。私は新羅、こっちはセルティだよ」

上手く字が読めない=セルティは会話出来ない、と言う事実に彼女が打ちのめされている。その横で、その肩を慰めるように抱きながら新羅が尋ねた。
ここに来て初めて、男女の仲、というものを見た帝人は、その様子に少しだけ顔を赤らめる。

「…ところで、その言い方から察するに君はどこか違うところから来たのかな?」

やはりこの男はそういうところを聞き逃さない、侮れない。臨也がククッと笑っていると、横に座る帝人に服の裾を引っ張られた。このニンゲンたちはどこまで信用できるのか、何を話をしてもいいのか、と訴えてくる目だ。
今、この瞬間彼は俺を最も信頼できる人間と認識し、頼ってきている。その事実が浮き彫りにされて、随分と満たされる気持ちになった。

「……そうだな、等価交換といこうか。君たちがどこにも喋らないと言うなら、帝人くんの秘密を教えてもいい。でもその代わりに、君のヘルメットの中身を見せてくれる?」

臨也が帝人の方へと視線をやり、眩しいように薄く目を細め少し微笑んでから答えを出した。
付き合いの長い新羅は、言葉の内容よりも先に、臨也のその様子に驚く。

「…君、そんな笑い方できたっけ?」
[……そんなことしてその子は大丈夫なのか?]

新羅には後で蹴りを入れておくとして、セルティの文字列に対して、臨也はニヤリと口の端を引き上げた。先ほどと打って変わって、その表情はいつもの彼と何ら変わりはない。
帝人はいまいち噛み合っていない会話を目の前に、臨也と白黒の男女を見合わせて、フードの中の耳をほんの少し振るわせた。
音がくぐもって聞こえにくいのだが、それ以上にこの3人の会話はさっぱり理解できない。
ただどうやら、目の前の女性が何かをするらしい、と帝人はそちらを見詰めた。ヘルメットが何のために必要な何なのかはあまりわかっていないが、その面のようなものを着けているニンゲンは昨日の街探索でも何人か見掛けたのだから、やや感動が薄い。