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里海いなみ
里海いなみ
novelistID. 18142
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【未完結】学校の怪談

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ノックの手の教室からダッシュで階段を下り、先ほどまでのあの狐に化かされた感のある下りれなさはどこへ行ったのかという話だが、四人はなんとか一階まで下りることができた。

「…なんも無かったね」
「これ以上出てこられても困るけど…」
「………遅いかも」

ぽつりと返した夏乃の視線の先には、黒く長く伸びる影があった。それは廊下の向こう側から伸びていて、その影の持ち主はまだ姿を見せてはいなかった。

ズル…ズル…

何かを引きずるような音が聞こえる。やがて、その全貌が現れた。引きずっていたものはどうやら長く伸ばした髪の毛のようだ。

「あれ、何?」
「と、とりあえずその辺の教室入ろ、見つかったらマズイ気がする」

蛍の言葉に全員が頷き開いていた部屋に飛び込む。机がひとつふたつしかなく、大きな黒板にはたくさんの落書きがなされている。

「…カウンセラー室?」

そう、どうやらその教室はカウンセラー室のようだ。教師用の机の上には紙と鉛筆、床の上には十円玉が落ちていた。
それを拾い上げようと幸樹が手を伸ばした瞬間、

ガンッ、ガンッ!

ドアが割れそうなほどに叩かれる。ドアには鍵をかけたため入ってこようとしてもドアが開くことは無い。

「あれ…ひきこさんじゃない?」
「はい冬耶」

蛍の言葉に夏乃が冬耶を促す。再び冬耶が目を閉じて口を開いた。

「ひきこさん。雨の水曜日に校舎内に現れる女性。本来小学校に現れるもので、自分をいじめた人間を探している。人を見ると『醜いか』と聞いてくるので、このとき『はい』と答えると怒って引きずられ、『いいえ』と答えると気に入られて引きずられる。」

「どっちにしろ引きずられるんかい!?」
「突っ込んでる場合じゃないって!」

幸樹の突っ込みにかぶせるように夏乃が叫ぶ。薄く開いた隙間に顔を押し付け、ひきこさんが問うた。



「醜いかぁ!私のこの顔が醜いかぁ!!」



答えられずにあたふたしていると、誰かが声を発した。

「引っ張るぞ引っ張るぞ引っ張るぞ」

「ギィアぁぁあああアアア!?」

ひきこさんは顔をそむけ、走り去ってしまった。
退治するための言葉を言ったのは、幸樹だった。三人は幸樹を凝視する。
ドアの鍵がかかっていることを確認しつつ、幸樹はその目線に居心地悪そうに答えた。

「こないだ夏乃が送ってきたサイトにのってた」
「あぁ」

なるほどー、なんてほのぼのとした顔で言いながら二人が笑った。
しかしそんな二人をよそに、冬耶と蛍はこっくりさんの紙をにらみつけるように見つめていた。

七話 了