凡人の非日常
1
プルプル プルプル (電話の鳴る音)
自分ちの電話が鳴る。
それで起こされた俺は無造作に受話器を取る。
「はい、もしもし。鈴木ですけど。」
「あ!もしもし。鈴木君?紺野だけど。」
なんで先生から電話が!?
連絡網な訳ないし…。え!!怒られる様なことしたっけ!?
「もしかして今、起きた?」
軽い口調で先生は言う。
「まぁ、そうですけど。あの…用件は…。」
「鈴木君、今から学校に来てくんない?」
へ?なんで?でも、怒られるわけではなさそうだ。
「いきなりなんですか。」
「あっ私服でいいから。」
完全に無視。
「いや、あの」
「出来るだけ早く来てね。待ってるから。」
ぷつりっ
ツーっツーっツーっツーっ
はい?一方的過ぎるだろ、これ。
電話をかけて訳を聞きたいのも山々だが、こっちは相手の電話番号もメールアドレスも知らない。
「とりあえず、行ってみるか。」
学校は家から5分で通える位置にある。この高校を選んだ理由の一つも近さだ。よくわからないけど行くことにした俺は、顔を洗い、歯磨きをして、その辺に落ちてたジーパンとシャツとカーディガンを着て家を出た。ジーパンのポケットにはとりあえずケータイが入っている。
時計を見てみると9時50分だった。土曜にこんな早く起きたのは久しぶりだった。俺は帰宅部なので休みの日は大抵起きるの11時位だ。
学校まで小走りで行く。一応、早く来いって言われたし。
校門がだんだん見えてくる。そこには、先生がいた。遠くから見てもわかるあの長身。なんでモデルじゃなくて教師やってるのか聞きたくなる。
「はぁはぁ…お待たせしました。」
「いきなりでごめんね。」
流石、先生。私服もかっこいい。
「で、なんで僕を学校に呼び出したんですか?」
「ん?あぁ、ちょっと買い物付き合ってよ。」
全てが唐突過ぎる。