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突然電話がかかってきた。 電車の中だからとることはできない。 とりあえず誰からの着信かだけはチェックして、あとで折り返し電車をしよう。
そう思って名前を確認すれば、普段から忙しく連絡だってまともにとれないあいつからだった。 私から寂しくなってかけることはあれど、向こうからはきたことはない。とは言っても、私も一度しかかけたことはないのだが。
多分電話好きなあいつがかけてこないのは私が電話は苦手だと最初の方に言ったからだと思う。今はもうあんたとなら平気だよ、って伝えればいいんだけど、それだと私が電話したがってるみたいで言えるわけがない。けれど電話がくればいいなとは思っていたから、何だかんだとこの着信は嬉しかったりするわけだ。
普段滅多に連絡を取らない相手からの着信ほど不思議なものはない。 と、思う。 更に言えば私の携帯はメールばかり受信して電話なんて掛かってくることはそうそうにない。 そんな数少ない中での着信があいつとあれば、どんな気持ちかは察することくらい出来るのではないだろうか。
さてこの着信をどうしよう、帰宅してからかけ直そうか、と考えても結局は惚れた身。下車予定にない駅で降りてホームから電話する。少しくらい焦らしたいなんて考えたってあいつにはそれが効かないのだ。 1コール、2コールと続き3コール目が鳴る前にあいつは出た。早いな、と頭のすみで考えながらどうしたのだと要件を聞く。 おかしい、いつもより元気がない。
少し心配になってぼそぼそと話す内容を聞くと、なんだかいてもたってもいられなくなった。こっちから会いに行こうかと問おうとした瞬間、あいつが珍しく私の言葉を遮った。
「あいたい。」
そんなことを言われて無視するほど鬼ではないし、まず出来ない。あいつからの要望なら何だって聞いてやるよ、私の心境はそんな気持ちであふれているわけで。 私はすぐに返事をして、あいつの家へ向かう路線へと飛び乗った。
作品名:non title 作家名:逢依@kiss!