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おやまのポンポコリン
おやまのポンポコリン
novelistID. 129
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i site mile?

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突然の女の絶叫で目が覚めた。

 そこは独房で、俺が眠っていたのは質素なベッドの上だった。
 身も凍るような悲鳴は、なおも鉄の扉の向こうから聞こえていたが、やがてパンパンと渇いた拳銃の音と共に止んだ。

 どうやら俺はとんでもない場所にいるらしい。
 俺は大急ぎで昨日の記憶をたどった。

 会社帰りに寄ったのは、いつもの居酒屋・・・。
 そこでビールをしこたま飲んで、いい気持になった後、ちょうど通りかかったタクシーでアパートに戻ったはずだった。

 だがそこからは記憶がなく、起きると独房だったのだ。
 
 となると考えられるのは、大トラになった俺が暴れて運転手に乱暴し、警察のごやっかいになってるという事だった。

 だが、それにしてはおかしい・・・。
 あのピストルの音はいったい何だったのか・・・。

 俺は看守を呼ぶのは止めにして、物音が消えるのを待って、ベッドを立て掛け、ドアの上の換気口から覗いた。

 と、そこにあったのは廊下一面についた血だまりで、それは付きあたりのエレベーターまで続いていた。

 違うここは警察じゃない。
 三十七年間生きてきて、数多くの映画やドラマを見て来た俺はそう直感した。

 幸い、さびついた換気口はすぐに外すことができ、俺は独房から出る事に成功した。
 ただ問題はどうやって、この建物から脱出するかだった。

 謎の殺戮者が死体を運んで行ったとみられるエレベーター(どうやらここは地下らしい)は問題外だった。
 しかし俺はすぐに、反対側に非常階段があることに気がついた。

 が、その扉を開こうとした時どこからか、か細い声がしたのだ。
 「そこに誰かいるの? お願い助けて・・・」

 女性と思われるその声は、非常階段脇にある別の独房から聞こえて来た。

 注意をしながら鍵をあけると(これは外からは簡単に開いた)中にいたのは三十過ぎの女で、涙で化粧が崩れているものの、なかなかの美人だった。

 「私は志乃田かすみ、昨日友達と飲んだあと、タクシーに乗ったらここに連れてこられたの」
 
 おそらく彼女も眠っている間にここに運ばれたのだろう・・・。

 俺達は協力してここから脱出することにした。



 慎重に非常階段を上がって行くと、どうやらここは廃病院らしく、看護婦の詰所のような場所から男達の声がした。

 そっと中をうかがうと・・・。
 屈強な男数人が、カードゲームを楽しんでいる最中で「さっきの死体はどうした」とか「残った男と女は臓器売買の組織に引き渡すんだろ?」などと物騒なことをしゃべっていた。

 俺達は、男達が席を外す機会を二人で身を寄せて待ち、「そろそろ、連れ出すか」と全員でエレベーターに乗り込むのを見計らって、裏口から脱出した。

 外に出て見ると、そこには○○病院と書かれた看板が掛っていた。
たぶんこの看板がやつらの隠れ蓑になっているのだ。

 俺達は近くにある交番に駆け込んだが、警官は本気にしてくれず、それどころか「ちょっと待っていろ」と言って、先程の偽病院に電話をかけ始めたのだった。

 「まずい、逃げよう」
 俺達は警官の隙をみて交番を走り出ると、繁華街を突っ切りJRに飛び乗った。
 電車の中はいつもの平和な風景・・・。
 しかし今の俺達には、別世界のものだった。

「とりあえず、君を一人にするのは危険だ」
 俺はそう言って、自分のアパートに彼女を連れ込んだ。
「私達、どうなるのかしら」
 不安そうに震えるかすみを俺は抱き寄せた。
 「大丈夫、きっと俺が守るから」
 
  キスをしようとした時、ムードをぶち壊す「ハレ晴れユカイ」の着メロが流れた。
 
  憮然とした表情で電話に出ると、それは親父で・・・、
 「お前がいつまでたっても見合いをせんから、こっちでドッキリお見合いというのに申し込んどいてやったぞ。料金はそっちで払っとけ」と笑った。
 
 なんでも、映画インシテミルやSAWのような恐怖空間で、出会いを演出する見合いなのだという。
 
 彼女の両親も申し込んでいたことからすると、あれがそうだったのかと二人で悔しがっていると、程なく例の病院名が書かれた企画会社から、一人112,000円、二人で224,000円というとんでもない請求書が届いた。
 
 
 
             (おわり)
作品名:i site mile? 作家名:おやまのポンポコリン