巡り廻ってまた会おう
エスカレーターに乗って下へと下りていく。周りは水槽で覆われていて、色々な魚が頭の上や顔の横を通り過ぎていく。一人海の中に居るような気分に浸りながら下りて行けるのは、面白い。
平日だからかお客さんは少ない。というか、未だに一人も見かけてないっていうのは一体どうしたことなんだろう。二、三人ぐらいはいるだろうと思ってたんだけど。恐るべし、平日パワー。ちなみに、館内は酸素ポンプの音が聞こえてしまうほど静かだった。
色々な魚が泳いでいるところを横目でチラりと眺めて、でも足を止めることはせずに案内の矢印に従って歩いてゆく。
特に理由はないけれど、とにかく大きな魚が見たかった。サメとかさめとか鮫とか。
人の気配もなく静かで、薄暗い廊下を歩いていると、不思議な気分になる。まるで別世界へ来てしまったような感覚だった。
作品名:巡り廻ってまた会おう 作家名:ゆくま