Trick or treat
ハロウィンで今日も子供たちは、まるでそれしか言えないように「トリック・オア・トリート(お菓子をくれないんならいたずらするぞ)」と言っている。馬鹿馬鹿しい、とは言わない。子供相手にそんなこという大人の方がむしろ馬鹿馬鹿しくて大人げない。ただし、彼らがお菓子を求めて夜の町を歩く、いくら保護者がついていようとも、夜の明るさとかそういうものを知ってしまった子供たちは、きっと夜に紛れるようになる。照らされれば悪い場所が見えてしまうからお日様の下にでられない人たち。金と裏の利権がひしめき、薬も女性も売り買いされている夜の町に対して何のおそれも抱かないのだ。
そう考えれば、田舎の少年たちは夜に興味を持とうと、あくまで探求心で怖いもの見たさによるもので、大人に近づくにつれて興味は薄れるのだから、危なさに巻き込まれるケースは少ない。ただ、ずっと田舎にいる場合だが。都会にでてしまうと、こんな夜もあるのか、と興味を持つからだ。
夜。それは普段の美しさを失った魔都の様相。昔の人が都の夜にはとても大きな妖怪が集まると言ったのもうなずける。いつの世も、確かに都の夜に妖怪は出没する。他では類をみない大きな奴らが。そしてその妖怪は言うのだ。
Trick or Treat?
作品名:Trick or treat 作家名:フレンドボーイ42