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冒険倶楽部活動ファイル

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 私は布団に入ってその冒険倶楽部のネタ帳を見た。
 一から見直している内に時間が経ち、もうすぐお昼になろうとしていた。
「そう言えばこんな事あったなぁ」
 最初に展望台でみんなで遊んでから今日に至るまでに本当に色々な事があった。
 4月から始まった私のこの星上島での生活、みんなと知り合ってこの倶楽部に入って毎日が楽しい事の連続だった。
 冒険の日もそうじゃ無い日も、学校でも外でも沢山あった。

 前までの学校じゃこんな風じゃなかった。
 今日みたいに風邪を引いても学校でも本を読んでるだけだった。
「そろそろ終業式が終るか……」
 時計を見るともうお昼を回っていた。
 これから冬休み開始でみんな嬉しいだろう、でも冬は大掃除とか大変だから遊ぶ事はあんまりできないだろうけど……
 それ以前にクリスマスはどうするんだろう?
 私は風邪で欠席、みんなだけでやるのかな? 別に構わないけど正直少し楽しみだっただけにその分残念だった。
「クリスマスの話はギャグ回かな……」
 折角クリスマス・ツリーの飾りもプレゼントも用意した。
 でも結局風邪で寝込んで結局パーティーには出られない…… これじゃギャグ漫画だった。
 するとその時だった。玄関の方から声が聞えた。
「ごめんくださーい!」
「あの声……」
 私は上着を羽織って部屋を出る、
 冷たい空気の籠もった廊下を歩きながら玄関を開いた。そこに居たのは……
「「「「「メリー・クリスマス」」」」」
「み、みんな?」
 何でみんながここに?
 秀君に羽須美ちゃんに功治君に龍太郎君に舞加奈ちゃん、そして鯨那君もいた。
「ビックリした?」
 羽須美ちゃんが尋ねてくる、
 そりゃビックリしない方が変だよ。
「ほのかちゃんがビョーキで出られないだろうから準備してたんだよ〜」
「病気って言うか風邪だけどね」
「これからほのかちゃんのお家でパーティー開かない?」
「私の家で?」
「ほのかちゃん風邪で外に出れないから…… こうして持って来たんだよ」
「ケーキもあるよ〜」
「ほのか、いきなりでゴメン、でも僕達、君とクリスマス・パーティーしたいって言うからさ」
「わ、私と?」
「当然です!」
 すると鯨那君が秀君を押しのけて前に出ると黒い手袋を嵌めた手で私の手をつかんできた。
「ほのかさんが居ないクリスマスなどクマノミがいないイソギンチャクの様な物で……」
「悪かったな、イソギンチャクで……」
 秀君は鯨那君をにらみ付ける、
 2人を他所に羽須美ちゃんが言って来た。
「ほのかちゃん、どうする?」
「えっ?」
「いや、だからさ、ほのかちゃんのお家は大丈夫?」
「あっ…… お父さんは夜まで帰って来ないよ」
「じゃあ大丈夫なの?」
「うん」
 私は頷くと秀君達を家に上げた。
 私の部屋にみんなを招待すると龍太郎君が持って来たツリーを部屋の畳の上に置いて秀君と鯨那君と功治君と龍太郎君がツリーに飾りを付けた。
「本当にいいの? 見てるだけで……」
 私は布団の中に入って訪ねた。
「いいよ、ほのかは風邪だろ」
「そうですよ!」
 すると鯨那君が言って来た。
「ほのかさんは風邪なんです! 万が一拗らせてインフルエンザにでもなったら大変です、あれは命に関わります!」
「風邪とインフルエンザは違う病気だ!」
 秀君は言い返す、
「いや、でも風邪を舐めたらいけない、風邪は万病の元だって祖母ちゃんが言ってた」
「龍太郎! お前は分かってる!」
 鯨那は龍太郎君の肩をつかんだ。
 すると秀君は頭を抱えながら首を横に振った。
「は〜い、お待ちどう様〜」
 するとそこで台所で料理の仕度をしていた舞加奈ちゃんと羽須美ちゃんがやって来た。
「まぁお皿に乗せただけだけどね」
 羽須美ちゃんが苦笑した。
「それじゃあ始めようか、」
 秀君が部屋の明かりを消すと部屋が暗くなる、
「いっくよ〜」
 功治君がスイッチを入れるとツリーが輝いた。
「わぁ……」
 本当に宗教も国も関係ないクリスマス・ツリーだった。
 でも凄く優しくて奇麗な光だった。
「はい、最後の仕上げだ」
 すると秀君がみんなにクラッカーを渡し、行き渡ったのを確認すると天井高く掲げて紐を引いた。
「「「「「「「「メリー・クリスマスッ!」」」」」」」
 クラッカーが鳴り響きクリスマス・パーティーが始まった。
 その後はみんなで料理やお菓子やケーキを食べたりゲームをしたりして楽しんだ。ババ抜きでは確実っていって良いほど秀君が勝ち、必ずジョーカーが残ってしまう鯨那君が負けて悔しがっていた。
 顔に出るから凄く分かりやすかった。
「あ〜〜っ!」
 すると舞加奈ちゃんが窓の外を見た。
「おおっ! 雪だ!」
 空を見ると暗くなった空に白い雪が落ちて来た。
「ホワイト・クリスマスだ!」
「何か漫画みたい」
 フィクションでしかないホワイト・クリスマス、でも私は5年前に北海道で体験済みなのだった。
 でもあの時とは違う、何故ならそれは仲間がいるからだった。
 こんなに楽しいクリスマスは初めてだった

 私達はいつまでも降り続ける雪を見ていた。
  
作品名:冒険倶楽部活動ファイル 作家名:kazuyuki