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一日一善

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眼鏡をかけ、いかにも優等生な少年が部屋に入ってくるなり言った。
手には何かの用紙と刀。

「宣戦布告された。そかも、空戯(からぎ)小から、また。」
耳を、目を疑うような台詞だが、彼の同級生は聞きなれた言葉のように応えた。
「えぇーあの子たちも懲りないねぇ。
使者の人は…やっちゃった?って聞くまでもないかぁ」
髪をひと括りにした少女がとても楽しそうに言う。

「この前、廃校(・・)寸前まで追いつめたのに、まだやるかぁ?」
これは、制服を着崩した茶髪の少年の発言。</br>

「それほど、『学力』が欲しいのでしょう。
ですが、委員長の懲りない、には同感です。」
三人の中では一番年下であろう少年。こちらも眼鏡をかけている。


「でもさ、なんで今?タイミングおかしくね?」
茶髪の少年が本日何個目か分からない飴の包みを開けながら言う。
「考えないでそういう事を言う人を馬鹿って言うんですよ。流石は筋金入りの体育会系ですね。」呆れながら応える眼鏡後輩。
「は、はぁ!?ただ、俺はギモンを口にしただけだろ!」
「体育会系は難しい言葉を無理に使わないでください。片仮名になってます。」
「体育会系馬鹿にすんなぁあああぁあぁぁぁぁ!!」
と、二人の頭に厚いファイルが落ちる。
「煩いよ、二人とも。真湖の疑問ももっともだよ、瑛。」
「それに、体育会系の奴、皆がみんな、コイツみたいじゃないんだ。
他の体育会系の奴に失礼だぞ。」
「話を戻すと、空戯(からぎ)が攻めてきた理由は、
三年が修学旅行でいないからだよ。」
「あ、…そっか。会長たち沖縄じゃん。あーだからかぁ」
「この辺一帯の学校が今、修学旅行シーズンだからな。他も結構荒れるらしい。」
「その混乱に乗じてでしょうか。」
「だろうねぇ。あと空戯の子達、売木(うるぎ)と組んでるみたいなんだよね。」
「売木…最近、小中高一貫とかなんだか言ってる所か?」
「そうそう。あんなマンモス校、味方にしてる時点で勝ちに来てるよねぇ。あははは」
「ゲッ。じゃあ人数多いのかよ…殺るのメンドイなぁ…」
「あれ、でも先輩。売木って……」
「流石、瑛。よく気付いたね。だからこっちに勝ち目は十分あるんだよ。」
「え?なになに!?秘策!?」
ニヤリと笑う少女、いつもながらこの時の彼女は怖いと思う三人。


「その一、アッチも主戦力である三年生が修学旅行で居ないってこと。その二、売木は提携とか合併って言っるけどウチが妨害してるから、戦力増加には繋がってないってこと。で、最後は、」

会長不在を任されている少女は不敵に笑う。

「クラスマッチだから皆登校してて、体育会系の士気が元々、上がってる。しかも中断されたとなれば更に士気アップ。…これだけ条件揃ってるときに、コッチにクラスマッチ中断させてまで、宣戦布告してきたんだ。ボコボコにしてあげなきゃ。さぁ!開戦、開戦!」
「「「(クラスマッチ、楽しみにしてたんだな…この子)」」」
作品名:一日一善 作家名:牟岐