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葎@ついったー
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die vier Jahreszeite 005

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005




「あ,降ってきよった」

見上げた空からひらり,ひらり,舞い落ちる雪片はきれいなもんてよりはどっちかっていうとゴミみたいやと思う。

「げー,バス遅れないだろうなあ」

隣を歩くフランシスが首に巻きつけたマフラに首を埋めるようにしてため息を吐いた。

「なんや,このままバイト行くんか?」
「いや,ちょっと実家に寄る予定」
「ふぅん」
「お前は?」
「俺?俺はなーんも考えてへん」

嘘をついてもしゃーないので本当のことを云うと,戸惑ったような目をじっと向けてきたフランシスは無言で俺の頭をくしゃくしゃに撫でた。

「何すんねん。セットが乱れるやろ」
「元からぼさぼさだから気にしなくていい」
「うっわ,ひっど!」

ぎゃいぎゃい云うてる間だけは,胸にぽかっと開いた穴を意識しないで済む。
いっつもひとのこと見透かしたよーな顔しとるフランシスはもしかしたらそういうのに気づいてるのかもしれへんけど,余計なこと云わんから好きや。
ギルベルトは別。
アイツはそんな気遣いとは無縁やけど。根っから鈍いし,自分のこともよーわかってへん。
でも,だからこそ好きや,て思う。

「…それにしたってアレやな」
「…珍しいもん見たな」
「ぽっかーんて口開けとったで」
「顔真っ赤にしてな」
「こっそり企んだ甲斐あったわー」
「それに乗った甲斐があった」

二人して言い合って,顔を見合わせてニヤリと笑う。
ほんの数分前に見た,ギルベルトの顔。
いっつも眉間に皺寄せて,不機嫌そうな顔して,笑うときは憎たらしくなるほど底意地の悪い顔で。
そのくせどっかヌケた俺様キャラなんが,顔真っ赤にして,全開の笑顔。
ほんのちょっと眉間に皺寄ってたんはアレ,照れやろな。
かわいー顔して,ちょっとムラっときたわ。
……流石にそれは冗談やけど。

「そうそう,これはお前の分ね」

空に向かってはー,と息を吐き出すと,傍らでフランシスの声がした。

「わー,おおきに。ありがとさんなあ」
「予定よりちょっと小さいんだけどまぁそこんとこは勘弁してくれ」
「んー,かまへんよー。どうせ一人で食べるんやし」

小さな箱を受け取って,空いてる方の手でコートの懐をごそごそ探る。
ポケットに入れるには包みが大きくなってもーたもんやからこうしたんやけど,落っことさんでよかったわ。