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melody♪四話

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 何で成海さんなのかと聞かれると、非常に困るけど、ただ顔じゃないのは確実だ。 成海さんが可愛くないと云ってるわけじゃない。垂れぎみの大きな目や、ぽってりした唇、ふわふわの髪は本当に可愛いと思う。ただ、それがこの感情の決定打ではない。
俺が成海さんがいいと思ったのは、彼女のアルバムを見たときだ。

外で彼女が出てくるのを待っている間、彼女が忘れていったアルバムを見ていた。本当は人のものを勝手に見るべきではないことくらい分かってた。けどあまりにも手持ちぶさただったのだ。

一枚目の写真は、赤ちゃんが二人映っていた。まるまると太った赤ちゃん二人が、カメラを見つめていた。二人ともおしゃぶりを加えていて、ちょっと間抜け面だった。
二枚目は二、三歳くらいの子どもが三人、絵本を覗きこんでいた。三枚目は四、五歳くらい。 四枚目は入園式のようで、かわいい制服に身を包んだ、ぽっちゃりした男の子と
女の子が映っていた。女の子は満面の笑みで、男の子は不貞腐れたような顔をしていた。

それから先、女の子は出てこなかった。綺麗な顔をした男の子と、ガリガリの男の子ばかりが出てきた。
一枚ずつめくるたびに彼らは歳をとっていき、最終的にガリガリの男の子は学ラン、綺麗な顔の男の子はブレザーに身を包んでいた。二人は高校の門の前に立っていた。背後の門には、誰でも知ってる有名な高校の名前があった。東京の、郊外。確か、先生の家の近く…。
綺麗な顔した男の子は満面の笑みでピースをしていた。ガリガリの男の子は不貞腐れた顔をしていた。

それは入園式の写真に似ていた。


俺はそれを見て、成海さんはどっちかが好きなんだろうなと思った。それも、こんなに長いあいだ。ずっと一人の人間を愛している。その執着に似た愛が欲しいと思った。







作品名:melody♪四話 作家名:おねずみ