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あなたをみると

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好きだと云われたしかし舌の根の乾かないうちに強く爪を立てられたこれは一体どういうことだろうと思ったけれど、すこし赤くなった頬を見てああ彼は興奮していると思った

わたしはこのまっくらな目をした人とまだあまり話したことはないけれどこの人のことをずっと見ていた

そして、この人は

(ずっとグラウンドを見ていた)

「あなたはひどいことをする人なんだね」

「ひどいことって、なに?」

「たぶんね、あなたはわたしをひっぱたきたいでしょう?それから髪の毛をひっぱって、もしかしたらみぞおちに一発きめたい?」

ぐっとつよく握られた。握力があまりにもつよくて、くっきりと握った跡がのこった。いたいなあと思ったけれど、なんだか面白かったのも事実だ


「わたしのこと好き?」

頷く

(わたしは、あなたが、)


想像してみた。目を閉じて、静かに耳をすまして



「わたしはあなたがぐちゃぐちゃになるところが、見たいなあ」


目元がほんのり色づいている。この人はひどい人だけど、わたしはもっとひどいと思った
作品名:あなたをみると 作家名:おねずみ