キミとボク。
ああ、今日もまたやっているのか、懲りずに。
そんなことを頭では思っているのに、何故か足は音の鳴る方へ。
ああ、今日もまたやっているのか、懲りずに。
幸せそうにギターを奏でるキミ。
これだけ慌ただしく人々は喧噪の波に飲み込まれているというのに、キミの周りだけ時間の流れが違うようだ。
憎らしくなるほどの、幸せそうな笑顔。
ボクが諦めた道を進むキミ。
「どうせ万に1も叶うはずのない”夢”なんだ」
そう唆され、レールに乗ってしまったボク。
「それでも億に1はあるかもしれない」
そう笑って、脱線をしたキミ。
ああ、本当にキミは音楽が好きだったのだ。
そしてボクの”好き”は所詮キミには及ばなかったのだ。
憎らしくなるほどの、幸せそうな笑顔。
でもそれはキミが選んだ道ゆえの笑顔。
結局ボクは自分で決断をしたのだ。
レールに乗ってはいるが、それは敷れたものではなく、自分で敷いているつもりだ。
・・・本当のところどうなのかは知らないが。
憎らしくなるほどの、幸せそうな笑顔。
でもボクはその笑顔を見たいが故に此処に足を運んでしまうのだ。
ボクの一等好きな、その笑顔を見たいが故に!
・・・憎らしく思うなんて、そんなの、
「ウソだよ」