藪のむこう
明日雨が上がったら
チビスケくんへ
君がいなくなってから、もう随分経つよ。
あの時はとても悲しくて、たくさん涙を流したよ。
きみはネコさんの姿をしていたけれど、
ボクの何もかもを知っていて、
ボクの何もかもを受け止めてくれていて、
そう、
きみがいなくなってから、
ボクの何もかもが行き場を失って、
夜毎ボクを苦しめる。
明日雨が上がったら、
きみを柿の木の下に埋めてあげよう。
秋になって、
きみのような色の実がなり、
きみのような色に葉の色が変わり、
ボクはその頃には、少しきみのことを忘れられるだろうか。
チビスケくん、
ボクは今もかなしい。