MS1 Mere Saga
そんな中でも、ひとときの幸福を、ひとときのギャグを、そしてひとときの笑顔を。
そんな思いを抱いて旅を続ける戦士やら魔術師やら、ともかく多くの人がいろいろとでてきてはいろいろとやっている話である。
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そして、そんなわけで、この話を進めていくのだけれど、はっきり言って、敵が強すぎて、絶望の淵にたたき落とされている中で旅をしようとしている時点で、本当は救いがない気がしてならない。それでも、どうしても何かを求めている。少なくとも、あいつ等に一矢報いてやりたいという意志がなければ、私たちは立ち上がることはなかったのだろうなあ、と思う。
私の名前はメープル・フェアリー。甘ったるすぎる気もしないでもない名前である。背が低いと言うこともあるし、装備を好きな色で合わせているが故に全体がピンク町なのも否めない。かわいい女の子になりたいわけじゃないんだから服なんて気にしなければいいのにそういうところ妙にこだわるのは何の因果なんだろうか。
当然旅している以上は戦士なんだろうなあなんて、ぼんやりと思ってくれればいいのだが、いかんせん、強い能力がないのが…どうしてなんだろう、こんなんで旅を続けていいのかな?サイコ系の能力も強くない。魔法も使えなければ「はっ」と叫んでも火の玉はでてこない。機械には弱いし…良いとこないなあ。フルートは好きだけど、楽器吹いて何か昇華させることも不可能だ。幽霊さんとも仲良くないし、持っている短剣は使いこなせないし、銃をひいてもねらったところに当たらない。せめて強かったらいいんだけれど、イヤになるくらい女の子した体だった。まあ、だからといって男にあこがれているわけでもないのだが。
私の強みは治癒能力なのだった。
…自分一人じゃ戦えないですね、そうですね、でも仕方ないじゃないですか。他の人を巻き込みたくないんですから。しかも能力も使いこなせてないし。だいたい、命を再生することはさすがに人間には無理だって言われたからあきらめるにしても、がんばっても骨折全治3ヶ月が1ヶ月になったところで、だからどうした、といわれてしまいそうだ。はっきりいって、悲しい。
そう思いながらとにかく今日のホテルを探していた。着いた先でドラゴンクエストかファイナルファンタジーならば苦労しないのかもしれないけれど、生身の人間だから疲れてしまう。しかも、そのくせにクエストかなんかあったりする。…クエストなんて言わないけど。
町にはいれば掲示板。掲示板をのぞいて、悩み事とか捜索願いとか探して、そしてそれを行って初めてお金をもらって、なんて苦しい生活を続けている。
…とまあこうしていると、ほらやっぱり彼が来た。悪人じゃあないんだけれど、めんどくさい人である。
作品名:MS1 Mere Saga 作家名:フレンドボーイ42