モダンタイムズ
<赤>
死を夢見ているときであった
私はいつものように土手へ散歩へ向かった
上から見える町並みや植物の群れがどうしようもなく恋しくてたまらなかったときだ
その日は以前見ていた景色とは少し違く見えた
赤かったのだ どうしようもなく
空が
太陽が
陽の光が
蒼く澄み渡り 時に深海のように深い色をしたはずの空が
その風景にどうしようもなく見蕩れて 手を伸ばしたくなった
頭の中の妄想という形で 私は空から話しかけられた気分になった
「そんなに死が恋しいのかい」
無意識に頷いてただ、ただ、懇願する私を傍から見たなら
気が狂ってる人間に見えるのだろうか、 と
頬を濡らしながら他人事のように考えた