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フレンドボーイ42
フレンドボーイ42
novelistID. 608
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紅葉・高揚

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 真っ赤に色づいた葉っぱを、彼女は手のひらの上でまじまじとそれを見つめて、うっとりしているのがまた乙な今日この頃である。
 「今何時かな」
 「4:37だけど」
 「え、もうそんなに!?」
 「ここにきたのは4時5分前だったかな」
 「ひゃあ!ごめん退屈だった?」
 「…いや?別にゲームしてたし」
 とかなんとか言ってみるけれど、先ほどから一歩も進んでいない。彼女の前でごまかすために、僕はセーブしてみるけれど、全く動いていないのにセーブするのって、プレイ時間だけが増えて無駄としか思えない。
 「で、まだ見ているのか?」
 「いいの?」
 「好きにしろって…俺はおまえのために待ってやろうって言ってんだからよお姫様」
 「じゃあお言葉に甘えて」
 …よくもまあ飽きないものだ。紅葉とか言っているけど、要は葉緑体の、葉緑素(クロロフィル)がチラコイドやストロマなんかとなって緑になっているのが、落葉樹なんかだと抜かれちまって、有色体が残る現象だから別にうっとりするほどのことでもない。
 ただだからといってそんな無粋なことを言ったりするような男ではない。かわいい女の子がすることにけちを入れるのはよくない。だいたい女の子がそんなこと理解しているのはあまり好ましくない。
 頭が良すぎて性格悪い奴って言うのは確実にいる。本来なら頭が良ければ人格もつくはずであると孔子様以下各著名人も言っていたのだが。それは僕も同意する。だけどそれはまず道(まさしく聖人が通るべき道徳)を得た後に存在し得るものだから、じゃっかん頭の良い奴はそんないい奴になれず、むしろ最低な奴にこそなる。そんな奴らは、つまり言ってしまえばバカなのである。頭がいいからってバカって言っちゃいけないなんて誰も決めていない。頭が本当にいい人は優しくて立派なはずだ。だって関係が円滑でなければ物事はうまく行かないから。
 でも今でも知のあるバカが多い。だったら知のない利口の方が全く好感の一つ持てると言うものだ。僕は彼女を見つめる。彼女は紅葉を見つめる。腕時計は5:10を指している。
作品名:紅葉・高揚 作家名:フレンドボーイ42