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幼馴染パロ 短編集2

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要は勝った方が勝ち、でしょ?



<要は勝った方が勝ち、でしょ?>

「さて、今年もこの季節がやってきたね・・・みんな、来月には体育祭です」
「種目を言っていくので、出たいものに手を上げてください」

中学1年の頃より学級委員を務めている帝人が、今年もゆるやかに微笑んだ。
運動嫌いの帝人にとってもっとも憂鬱になる瞬間、あとプールの授業、と、球技大会と・・数えたら案外あった。
高校1年生では体育祭にかける情熱などあまりない。
むしろこういった学校行事は暇な2年か、ラストということで燃える3年が中心だ。
というわけで、帝人のクラスもやはりやる気がなかった。

「200m走・・・スウェーデンリレー・・・・騎馬戦・・・立候補者がいない場合は、抽選か他薦になります」

女子クラス委員が小さな声で告げる。
黒板に種目を全部書き終えた帝人が教室内を振り返れば、誰もが下を向いたまま碌に声を上げようともしない。
普通はこんな時騒がしいものだろうが、下手な騒ぎ方をすれば静雄がうるさいと言って切れる。
ちなみにこのクラスの自習時の静けさはどの学年にも勝る。

「はぁ、やっぱりやる気出ないよねー。体育祭とか何のためにあるの?」

ぶつぶつ文句を言い始めた男子クラス委員に突っ込む術はその幼馴染2人以外誰ももたない。
が、その突っ込める2人のうち1人が楽しげに声を上げた。

「一応クラスごと縦割りでチーム組んで?優勝チームには全員にジュースと、その中でも最優秀クラスには金一封らしいねぇ」
「へぇ・・臨也、その金一封って何?」
「食堂のタダ券。1人頭1000円分」
「ふぅん・・・」

完全に興味わかないって顔で帝人が黙りこくる。
だいたいこういうのは3年が最優秀を取るに決まっているのだ、でないと可哀想だろう。
となると優勝したところでもらえるのは缶ジュース一本。
そのために苦手な体育を頑張るなんて、ハイリスクローリターンにも程がある。
「じゃあみんな適当に」と言いかけたところで、静雄と目があった。

(なっ・・なんでそんな捨て犬みたいな目で・・・っ!?)

その表情に音が付くとしたら、完全に「きゅーん」だった。
垂れた耳まで見えてきそうな悲しげな顔だ。

「し、しずお・・?どうしたの、そんな顔して・・・」
「あ?え、いや・・・その、体育祭とか、俺出たことねぇなって思って・・よ・・・」
「・・・あ」

体育祭に帝人は乗り気ではない。イコール、当日は結構サボる。イコール、臨也が付いてくる。イコール、静雄も同時にサボらなければならなくなる。
という図式が、中学の3年間で起きた。
小学校はチームなんて細かいものもなく、一斉に踊ったり走ったり組体操したり・・と全員行事だった。
中学では種目も多くなり、走る距離は長くなるし応援も入ったりで、どうしても帝人は拒否したがったので、臨也はこれ幸いと静雄は巻き込まれる形で体育祭には碌に出たことがなかった。
だからこそ

(たまにはやってみてぇなー・・文化祭なんてできることねぇし、体育祭ぐらいしかできそうなもの他にないしな・・)

球技大会はボールを破壊するのでダメだった。バスケットボールがメロンのように割れたその日から、静雄はバスケの授業にすら出たくなくなった。
まぁそんなことが起きた原因はいつだって臨也なのだが。

「そっか・・・ちゃんとやったことなかったもんね、静雄だってたまには学校行事やってみたいよね」
「あ、でも帝人はやりたくねぇんだろ?なら別に・・・」
「シズちゃんだけ参加すればいーじゃん。俺はその間帝人君と一緒にお弁当食べてるしー。ははっ、後ろで応援だけしてあげよっか?嬉しい?ねぇ嬉しい?」
「てめぇ、いざ――」
「わかった。やろう」
「「へ?」」

立ち上がって罵りあいを始めようとしていた2人の目が、教卓に肘をついたゲンドウスタイルの帝人に向けられる。
据わった目で「種目表を」ともう一人のクラス委員に告げると、彼女は慌ててそれを差し出した。
じぃ、と真剣に見つめ、

「臨也は短距離全部出てね。他は陸上部の△△君とサッカー部の××君。あとリレーは全力出さない方向で。協調性ないから。借り物には顔の広い○○君が中心で、障害物には小柄で機転のきく□□さん、棒倒しと騎馬戦は静雄ね。騎馬戦の上には僕が乗るから落としたら丸一日口きかない。あ、臨也も負けたら一日口きかないから」

「「え・・・」」

クラス全員の目が帝人に向いている。
が、その視線を鼻で笑って帝人は言った。

「文句あるの?」

「「ないです・・・」」

綺麗にハモったクラスが、果たして本当に一致団結して最優秀賞をとれるのか!?
それはまた別のお話・・・


(静雄がやりたいって言うなら僕も頑張るよ・・・任せて、僕のできる、僕の全力で、敵を叩き潰せば僕らの勝ちだ・・!)

作品名:幼馴染パロ 短編集2 作家名:ジグ