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フレンドボーイ42
フレンドボーイ42
novelistID. 608
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AB1of3 アスタリスクの吹雪の氷剣

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青い剣を背負い、白いコートを羽織っている彼は、この常夏の国では珍しいファッションだった。
 「…暑いなあ今日は」
 さて、きっとあなた方なら次のうちどちらかを心に思ったのではないだろうか。
 1:「だったら脱げばいいじゃん」
 2:「どうせお約束の服を脱いだらみられちゃいけない刻印か古傷でもあるんでしょ」
 しかしながら、だ。ここでこの男は全く両方の期待に添えない。
 まず、暑いとは言え、わざわざ装備を解いてまでもそのコートを脱ごうとはまったく思えない(たった一枚ごときで)ズボラであるという点で、1つめの期待には応えられないのである。脱ぎたくないから。そして2つ目の期待はもっと答えられない。彼が持っている古傷なんてせいぜい幼少期にかいだんで転んだ傷跡くらいなもので、恥ずかしいとは言え全く見せることは問題ない。彼はそもそも旅をする理由がない。彼は、ただ自分の剣でどこまで冒険できるかを試したくて旅をしているだけだった。仲間がいることすら拒否して一人で歩くことを決意した彼。何とも、崇高さのみじんもない理由。
 しかし、そのみじんもない理由のためにアシッドスパークを蹴ったのもまた事実ではある。自由に行動できないならお断りだ、というわけである。白い服に身を包んだ彼の、その目的は、小さいとは言え、アシッドスパークに対抗する勢力ではあるのだった。
 そんな彼は、今晩の宿を探しにきたのだったが、全く宿が見つからない。空いている部屋がない始末なのだ。
 「…野宿するか」
 まさにそういう選択肢しか選べそうになかった。そんなとき、ちょうど良さげな洞穴が見つかった。
 「…涼しいな。ここにしようかな」
 そうして、彼は荷物を下ろし始めた。といっても剣を枕代わりにするだけだが。コートを脱いで布団代わりにする。そして、防護壁を纏う。これをしなければまず置き引きにあうだろう。商人フレンドは需要不明のものを多く取り扱う。それは彼が誰に対してでもものを売ることと、バッグの容量が無制限だということに由来するらしいが。

 ひた、ひた、ひた…。
 歩いてくる音がする。
 ここで「誰だ」と叫ぶのは、誰でもできるし、誰でもそうするだろう、と思うし、そして誰でもこう言うときにはそういうか、黙って様子を見るか、の2択以外の行動はできないし、というシチュエーションである。
 これをわざわざ書いている理由はわかるだろうか?アスタリスクはお構いなしに寝始めたのだ。まさに危険な選択。まさに愚かな選択。
 彼はしかしそんなことにかまっていられない。そういう性格だったのはまさしく剣士失格としか思えない。
 そして近づいてくるその足音。
 二人組の彼らが近づいて、アスタリスクに気がつくと、仲間と互いに顔を示し合わせてしめたっ、という顔をする…当然だ。
 防護壁を破る準備にかかる。本当に怖い連中は防護壁云々でどうにか防げるものではない。そして彼らは剣をとろうとする。

 ザシュッッ

 そして二人は倒れた。再び防護壁が張り直されると、そこには熟睡する剣士と、永眠する二人組が残り、立っている者は一人といなかった。