詩集 『天―AME―』
『憎しみ』
アイツの目の前で
この首を掻っ切ってやりたい。
そうすれば
一生忘れることの出来ぬ悪夢になる。
このまま生きるのはつらい。
生きても忘れられない。
アイツはきっと忘れるだろう。
この苦しみを
この憎しみを
この悲しみを
その真実をアイツは忘れて
長閑に生きるんだろう。
許されることなのか?
自分は孤独の中で生を終えても
アイツは知らない顔で
未来で生きる。
許されるのか?
憎しみはこの身を鎖で絡ませて
苦しみと悲しみを引きずって
生きろというのか?
何が正義だ?
何が悪だ?
何のための叫びだ?
何で誰も振り向いてはくれないんだ?
忘れろというのか?
この残酷な真実を
捨てろというのか?
この激しい憎悪を
教えて欲しい。
何がいけなかったのか。
助けを叫ぶ声は
もうずっと昔に絶望に変わった。
まだ、生きなきゃいけないのか?
作品名:詩集 『天―AME―』 作家名:柳 遊雨