気付かぬ思いを貴方に抱く
「ほーら、色々霧島さんにしてもらったんだからお礼くらいしなきゃ!」
「だからってなんで俺がっ!」
「雄二があげた方が喜ぶだろ〜?ほら、買って来なって」
「うわっ、押すなよバカ久!!」
「いいから早く行ってこい!!」
全く、素直じゃないヤツといると疲れるなぁ…。
『どれでもいいだろ』とか言っておきながら一時間も悩んでるし。
両思いなんだろうから早くくっついてしまえばいいのに。
ズキンッ………
「?なんだろ…」
胸が、痛い?
「変なものでも食べたかな…?」
ズキッ
まただ。この胸の痛みは一体なんだろう…
二人が一緒に歩いてるのを想像するだけで胸が痛む
なぜ……
「おい、なにぼけっとつっ立てんだ。バカにしか見えないぞ?」
「雄二…なんでもないよ……」
わからない、もやもやしたこの気持ちが何なのか、わからない
「?まあいい。ほれ、付き合わせたお詫びだ」
「…明日の天気、雪かな……」
「要らねえんならいいんだが?」
「いや、いる!くださいっ!!」
「たく、最初から素直に言えよバカ」
優しく笑う雄二。
霧島さんに、その笑顔が向けられる……
ズキッ、ズキッ
「っ?!」
「おい、どうした?!」
「なん、でもない、よ」
「何でもないって顔色じゃねぇぞ?!…っ早く家にいくぞ」
「う、ん………」
わからないこの胸の痛み
それが、こんなにも辛いのは
なぜ……?
<気付かぬ思いを貴方に抱く>
作品名:気付かぬ思いを貴方に抱く 作家名:subaru