川口暁過去作品集
№82
私の携帯に送り主のアドレスのないメールが着たのは、夕飯の後だった
「なにこれ」
(変なの…)
どうせ特殊なチェンメかなんかだろう。
(こんな御時世だしね)
…いつもだったら、そこでメールを開きもしないで消していた。
でもなぜかその時に限って私はメールを開いてしまったのだ
【山田百合子様でございますね。
どうか私とゲームをなさいませんか?
…ルールは簡単。このメールの送り主を当てて下さるだけで結構です。
もし一度で当てられれば勝者、あなたの勝ちで私がこの命を差し上げましょう。
…しかしもしも一度で当てられなかった場合には、敗者。つまりあなたの命をいただきます。
簡単でしょう?
ひとつヒントを差し上げます。
必ず送り主はあなたをよく知っている方です。
…あなたは怨みを持たれたことはありませんか?
ない?
…それならこのゲームあなたの負けです。
それではごきげんよう。
追伸
勝者になられた方には、左腕にNOが刻まれますがご了承下さい。】
「…なにこれぇ!うけるッ」
こった悪戯してくるなぁ
私の名前知ってるってことは知り合いだよね。
…こんな悪戯してくるのは、
『恭子?今変なメール送ったでしょ~(笑)』
恭子は私の親友だ。
…昔から変な悪戯しかけてくる。
…次の日、私は学校を休んだ。
恭子が死んだ
家が放火による全焼で、一家全滅になったとニュースで放送された。
『怨みを持たれたことは…』
なんで
どうして恭子
どうして…
私の腕にはNO.82と刻まれてるの