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遊佐 はな
遊佐 はな
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政府公認秘密機構「なんでもや」。

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序章


「なぁんなんだよ俺らはよぉ」
場所は高層ビルの23階。
風が吹けば足元が揺れるゴンドラの中、座り込みながら手には窓ガラス専用ワイパーを持った、仏頂面の男が唇を突き出した。
「なんだとはなんだ。これも立派な仕事だ」
問いかけられた男は、手にしたワイパーを忙しく動かしながら、問うた男に目をくれるでもなく、所狭しと手にしたワイパーを動かし窓ガラス拭きを続ける。
「はぁ?仕事?俺らはいつから掃除屋のあんちゃんになったんだよ。俺は腐っても探偵だ!ってぅわ!!」
力強く拳を握り締めながら、語尾を強めると同時に座っていた男が立ち上がると、ゴンドラが大きく右へ傾いた。
その直後、先ほどまで黙々と窓掃除をしていた男は、突然の足元の揺れに体勢を大きく崩した。
「てめぇ何しやがる!」
男が叫んだそのときだ。
揺れた視界に飛び込む大きな影。
「は?」
真っ青な空に突如現れた黒い点が言葉も発する暇もなくみるみるうちに近づく。
「うわっ!ちょいちょい待て!」
先ほど悪態をついていた男の顔が真っ青になり、頭で考えるより言葉を発するより先に体が動いた。
ゴンドラから身を半分乗り出し落ちてくる黒い影になんとか手を伸ばした。
「おいゴッド!ゴンドラ固定しろ!」
「きさまに言われなくともやってる」
血管が浮き出るほどに力を込めた腕としっかりと割れた筋肉質の腹筋と、それから、上半身以上に鍛えあげられた下半身を踏ん張り、男は落ちていく影をゴンドラへと引き上げた。
ゴッドと呼ばれた男もゴンドラが動かないよう必死に固定した。
「死んではなさそうだな。気を失っているだけだ」
引き上げられたモノー少年らしき男の首筋に手を当てたゴッドが小さく呟く。
「死んでてたまるか!クソッ…腕痛ぇ…」
少年を引き上げた男が腕をさすりながら少年の横に座った。見れば腕には、少年を引き上げた時に出来たであろう生傷が無数に線をつけうっすらと血が滲んでいる。
「しかしよく拾い上げたな」
ゴッドがビルを見上げる。
その先には綺麗な青い空が広がっている。
「やっぱり飛び降りってやつだよな」
2人は、ゴンドラの中に横たわる少年を見て小さくため息をついた。