指 恋
「義務のつもりが、いつの間にか本気で君を探したいと思っていた」
「でも、私は、“お姫さま”じゃ……ないわ」
そう。“姫”は姉の永久なのだ。
「僕も“王子様”じゃないよ」
“王子様”は弟の方だと、長井医師。
「だから、妖精の森からは救えない。でも、この病気からは救い出してみせる」
「……私……」
「君がピンクのうさぎじゃなくて、良かった」
「医師(せんせい)……」
「意識が戻りましたって、ご両親に連絡してくる」
握り締めていた手を離し、長井医師が病室を後にした。
その直後、枕元の携帯が着信を知らせる。
手に取った那由が、精一杯の力で、それを開いた。