指 恋
「なんだそりゃ?」
悪戯じゃないのか? と言ってはみるが、
「そんな事ないよ。きっと、異世界から迷い込んだ女の子が助けを求めてるんだ」
空想好きな弟の言葉に呆れる兄。
「返事、するんじゃないぞ!」
「どうして?」
「どうしても!」
そう言った、数日後、
「えへへ……」
嬉しそうに携帯を見つめるその姿に、
「お前、返事したのか?」
嫌な予感がして訊ねてみると、
「見つけちゃった。お姫さま」
携帯をかざして微笑む弟。
「お前……」
「きっとね、僕みたいに、どこかに閉じ込められてるんだ、この子」
“閉じ込められて”……。弟の言葉に胸が締め付けられる。年々動かなくなる身体。否応なしにベッドにいないといけない。そんな状態がその言葉を生み出したのだ。
「でも、これからは大丈夫。僕がついてるから」
誰かに探して欲しい少女と何かを探していた少年が、メールで出会った。