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　那由は、返事が出来なかった。
　そして、
『私が死んだら、“さようなら”って、告げて』
　そう言った姉の気持ちが、今、やっと理解できた。
　きっと、“王子様”の描く“姫”は可憐な笑顔の少女なのだ。
　青白い顔でベッドに横たわる少女ではなく、バラ色の頬で微笑む少女なのだ。
　―――　自分ひとりでは動けない、こんな姿を見せたくはない　―――
　胸に抱いていた携帯を目線まで持ち上げ、那由は指を動かした。