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フレンドボーイ42
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novelistID. 608
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CJ4of4 みかん・ゆきだるま

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子供が遊んでいるのを遠くから眺めていると、なんとなく自身の子供時代を思い出すものだ。
 「ジャックおじさん、ゆきだるまつくろうよ」
 「お兄さん、な」
 ジャックは表情だけやれやれ、といった顔をしたが、実はかなり乗り気だった。
 小さい頃は友達と雪だるまを作るのにとにかく熱中した。寒い中、できたところで別にこれといってなにもない、そんなくっだらないあそびに、しかも雪玉の圧力に巻き込まれるのを防ぐために大人はでなければならないと、今思えば申し訳ない気持ちになる。だいたい雪が降りすぎれば馬車も汽車も動かなくなる。飛行機や彼の乗る雲ならば問題はないだろうが、そんな物持っている人たちばかりではない。
 「まずは下からだね。いくよ」
 「「「「せーのっ」」」」
 子供たちのかけ声とともに雪玉は転がっていく。ある程度のでかさまできて、これ以上やると上に持ち上げるのがきつそうだ、というぎりぎりの位置で彼は止めた。
 続いて上も完成し、のせるといい感じの雪だるまになった。ジャックは持っていた枝や松ぼっくりを埋めて、顔をつける。これにて完成。子供たちはきゃっきゃら喜んでいる。
 「ふふっ」
 ジャックは笑顔を見るだけで嬉しくなる。
 ジャックはふと、先ほど仕入れたばかりのみかんを、3箱あるうち1つだけあけた。
 「みかんほしい人手を挙げる」
 「ほしい」
 「ぼくも」
 「ちょーだい」
 彼は売り物であるはずのみかんを、惜しげもなくあげた。子供の笑顔が、今の彼にとって最大の報酬だった。
 (この子たちは、あの夏の国の子供たちみたいに悪いことにあわなければいいんだけどなあ)
 しかし彼は一方でリアルなことを考えるとブラックになる男だった。子供をターゲットにした犯罪は、バリエーション・件数ともに多いのは事実。彼としては許せないことだが、どうしても止めることができない歯がゆさ。
 「…どうしたのさっきから」
 「…あっ、いや別になんでもないよ。そうだ、もう一つ作ろうか」
 「「「「さんせーい」」」」
 彼は思う。大人になることは一つの罪だ。自分が大人になってしまって初めて気づいたのだけど。だから、だからこそ、人は笑って生きなくてはならない。閉塞感も絶望感も、笑って吹き飛ばしておかないと、福はスペースに入れないからだ。