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フレンドボーイ42
フレンドボーイ42
novelistID. 608
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CJ2of4 緑色の草原で

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「暑(熱)いなあ…」
 最高気温42度。もはや人間の出歩く気温とは思えない。
 「寒いのもイヤだけど、暑いのもいやだなあ」
 「まあそういうなって旅人くん」
 「しかし長老こそ、そういって汗だくだ苦じゃないですか。今時温暖化どうこうで高齢者の死亡事件が相次いでいるんですから」
 「気合いがたりんのじゃ爺婆どもに」
 「…熱中症にならないためにはこまめな水分補給と塩分補給はしてくださいね。この国一番近い病院が十数キロ先で、その長老の愛馬でも取り返しがつかなくなるまでにはつきませんよ。僕みたいに雲に乗っているんだったら別ですけど」
 「貴様はこの国の夏の過ごし方をしらんのじゃな」
 「初めてですよ!?分かるわけないじゃないですか。全宇宙のことが書いてある本なんてないんですから」
 「…仕方あるまい、ついてきなさい」
 ジャックは長老に言われるままついていくと、そこには古代遺跡のような煉瓦づくりの建物がある。
 「本来は聖堂じゃが、地下な物で、天然水が流れとるし、気持ちいい涼しさじゃぞ」
 「…最初から案内してください」
 ジャックは拳をプルプル震わせた。
 「そして、この天然水はとにかく冷たくて、であそこで女どもが作っているのが0.5スレッドじゃな」
 0.5スレッド。補助単位レスポンスになおして50レスポンス。かなりやすい。
 「うまいから飲んでみんか。というか買ってくれんか」
 どっちが招待している立場なんだ、と内心あきれつつ、ジャックは長老の文と併せて2本買う。一本渡して飲むと、ひんやりして、少し酸っぱいライムの味がする。どこかで飲んだ気もする。
 「ソルティ・ライムの基になった飲み物ですか」
 「そうじゃな。まあ、いろいろなところに市販されとることもふまえて、やっぱりわしらは間違っていない、といえるんじゃな」
 たしかにソルティ・ライムはうまい。格別にうまいゆえに、ジャックも愛好している一人だ。
 「そういえば、品物は買いたくないけれども、ちょっと仕事してほしい、っていってましたね」
 「言ったのう。実は草原の向こう側にちょっとおかしい連中が巣食っておってなあ…最近物騒で小さい子供たちが次々行方不明になっとるんじゃよ。本当ならばこの老体引きずってでもいきたいところ何じゃが、のう」
 「いきましょう」
 お金になることは何でもやっている(犯罪と水商売と悪質商法以外)、ジャックだったが、なにより今回かき立てられたのは子供、についてだったからだ。彼は子供、という存在は守られてしかるべきと考え、それを痛めつける権利はない、と思っている。彼は急いでいった。
 するとそこには長老の読み通り子供たちがたくさんいた。労働にかり出されているのだろうか。ひとまず売り飛ばされているよう巣はなく一安心はしたが、ロリコン・ショタコンの、それも重度の、明らかにマンガアニメの影響云々ではなく(そもそも影響があると考えているのは一部の偏った見方をする連中だけなのだが)、教育が行き届いていない故になった連中とか、そういう連中は性的暴行に発展するおそれもあることから、そちらを心配していた。
 「…」
 忍び込んで子供たちをどうにか解放しようと、牢の近くまできたとき、…

 「てめえ、何者だ!闇が教えてくれたぞ」
 
 ダークドライブ、おもに宇宙でも謎とされる物質ダークマターやエネルギーのダークエネルギーを中心に波動か何かを感じている連中らしい。
 「ちぇっ、めんどくさいな」
 ジャックは、まさか能力保有者にあうとは思ってもいなかったが、それでもひるみはしなかった。
 「その子たちをどうする気だ」
 「どう、って働かせるに決まってんじゃねえか。年とったのつれてきたってそこいらで薪に紛れて死んでしまうし、若い連中は動き回って大変だ。しかも教育されて洗脳が効かないからな。子供だけが洗脳にも将来性にもふさわしい」
 「貴様等」
 「おいおい、この力はいろいろ使えるんだぜ」
 男はそういってジャックに手をかざした。
 「…うっ!」
 「どうだ、貴様」
 (…息ができない…)
 ジャックは窒息した。このままでは死んでしまいそうだ。まだ行ったことのない場所がたくさんあるんだ。もっといろいろ回りたいんだ…
 「カチッ」
 「パーン」
 銃声が鳴り響く。
 「この状況でも俺を撃つとはな。だが俺はダークドライブだぜ?銃弾なんざ効くかぼけg」
 「へえ…じゃあその茎はなんだい」
 「…!!なんじゃこりゃあ」
 ジャックと豆の木、という話を読者はご存じであろう。
 「ビーンバレット。豆の木があんたに寄生してでかくなる。どれくらいでっかくなるかなあ…おまえのパワーによるけど」
 「…うぐぅ…ごふ…わああ」
 男はあっけなく倒れた。ほかの男たちが駆けつけてくるが、そちらは数が多い。今や息を吸えるとはいえども彼にはきつい。
 「…こっちの出番だぜ!」
 本家の如意棒といえば、耳にも入れられるほど小さいのが特長だろうが、ジャックの持つ物は上限1m80cm、下限50cmなのである。全く実用面では不自由しないが。
 「…どうした?それくらいの実力しかねえくせに新たな正義を打ち立てようとか100年早いんだよ!」
 その言い回しは、古すぎる。
 ともかく。
 「君たち平気かい?」
 「おじさんが助けにきてくれたの?」
 「…お兄さんって呼んでくれないか」

 彼は長老の元に子供を全員帰した。子供たちは自分のおや・家族と再会してうれしそうな笑顔を見せていた。性的暴行の後もみられなかった、という。
 「すまんかったな。こっちがお礼の金じゃ、…あとこれももっていきなさい」
 「…?」
 「ここの土地神様じゃよ。君の旅の安全を祈っておいたわ」
 「…ありがとうございます」
 「またついででもいいからきておくれよ」
 彼は子供たちの笑顔と長老に見送られて次の地を目指した。