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ひざむらい
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novelistID. 15984
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のぶちゃんへ

あなたの健吾です。先日は私の家へお越しいただき、ありがとうございました。
失礼な話ですが、私はのぶちゃんのことを実はおばさんか、若しくはこの世のものとは思えない、大変不細工な方だと想像していました。ところが、そんな想像は見事に裏切られました。のぶちゃんは、まるで野原に咲く花のように美しく、そして清潔感溢れるほのかな香り、そして上品なその様は、私の心を奪うのに充分過ぎる程でした。はっきり言いましょう。一目見た瞬間から、私は恋に落ちました。本文ではのぶちゃんと書かせていただいてますが、先般お会いした時には、年甲斐もなく貴方の前では恥ずかしくてそう呼べませんでした。これからは、頑張ってのぶちゃんと呼べるようにしたいと思います。のぶちゃんが私のために持ってきてくれた手土産のルービックキューブは、今や私の宝物として神棚に飾っています。ところで、のぶちゃんがなんだかよそよそしかったのは、私の恋心が故の気のせいでしょうか。玄関で私の顔を見るなり、なんだかぎょっとした顔をなさいましたね。私もついつい、ぎょっとした顔をしてしまいました。私の場合は、先に書いた通り、のぶちゃんの姿があまりに美しかったから驚いたのですが、のぶちゃんはどうなのでしょうか。私と同じように、恋の血が騒いだのでしょうか。リビングで私と話しているときも、お互い緊張してるせいか、話が一向に弾みませんでしたね。なんだか落ち着かないような、もじもじしているような、そんな初々しい十代の頃に戻ったような気がしました。のぶちゃんは、「あら、用事を思い出しましたわ」と言って、そそくさとお帰りになられましたね。わかってますとも。用事なんて出鱈目なことで、緊張のあまり、早くお帰りになりたかったのですね。初めは仕方ありません。なんといっても、長年憧れていた人と、ようやく二人っきりになれたのですから。時間をかけて、分かり合っていきましょう。私の携帯電話の番号を添えておきます。いつでも連絡ください。私はいつでも暇ですから。二人で恋のアーチを架けましょう。

あなたの健吾
 
作品名:ファンレター 作家名:ひざむらい