つかまえた
「つかまえた」
ゴールデンがあたしの手首を持って、にいと口端を歪ませた。最初あたしは軽い
冗談だろうと笑っていたのだけれど、ゴールデンの顔があまりに本気だからだん
だん額に汗が浮かんだ。――つかまっ、た。そう思った時には何となくの恐怖す
らあたしの心を渦巻いていて、あたしは抵抗してみたけれど、あたしよりよっぽ
ど大きな彼女の力に適う筈もなかった。
シーズー、と彼女が甘く囁く。近付いてきた唇に、受け入れる意味でなく目を逸
らしたくて瞼を閉じれば、頬に微かにちゅ、とやわらかな感触がした。それが唇
にでなかったことに僅かに安堵して、でも未だ離されない掌に気持ちは張り詰め
た。
――ゴールデンは、あたしをどうしたいんだろう。からかってるんじゃないこと
はもう確信していた。でももしあたしのことが好きなら、あたしに何かしたいな
ら、さっきキスくらいできたはず。頭はくらくら、許容量を超えてパンク寸前。
「…大事にしたいんだ」
あたしの心を読んだみたいな台詞にどきりと胸が高鳴る。大事に、したい。だか
ら捕まえてもあたしが嫌がることはしない。なんて理不尽な優しさだろう。
パンク寸前だった頭はついに崩落してしまい、あたしはその場でぽろぽろ泣いた
。彼女は凄く困ったような、哀しいような顔をしたけれど、あたしの涙は止まら
なかった。
「馬鹿じゃ、ないの。」
そう云って責めても彼女とあたしの関係は修復できなくて、もう男と女のそれに
近いものになっていた。彼女は呟く。ごめんね、ごめん。そう云って彼女は腕を
放して、改めてあたしの涙を拭った。
「でもあたし、シーズーのこと好きだから。」
真っ直ぐ見られたその思いは、嫌じゃないと言えば嘘になるけど、嫌だと言って
も嘘になるようなそんな気がした。
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初の犬擬人化!
ゴールデン×シーズーの百合ップル(^q^)
ちょっとゴールデンの性格が違うな…!
精進あるのみ(`・ω・´)