BSS63 Rosso
「彼女には罪はないからな…ロリコンに捕まっても問題だし、殺されても問題だ」
アレンはそういって、その少女を連れ帰った。自室に。そこは、彼が住んでいる大きな屋敷の一室だ。山の上にあって、それゆえまったく人を寄せ付けず、彼はそんな中一人きりすんでいる。誰にも会わないというのに髭は剃り、自分で髪の手入れもして、彼は町にでれば娘どもが集まるようなスタイルをしているにも関わらず、世俗とは一線を置いていた。
「君は、イザベル、という名前にしよう」
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山にある日一人の男が登ると、遭難して帰る道が全くわからなくなって、そのまま宛もなく進んでいると、大きな屋敷があった。
「今夜はここに泊めてもらおうか」
そう思ってはいると、中には一人優雅な女主人がいるだけだった。
「あら、訪問客がいるなんて珍しいわね」
「あなたが主人かな」
「かつてはもう一人すんでいたけれどね。今は私が当時の思い出を忍ぶだけ」
「そういうことか…。実は遭難してしまって」
「ちょうど悪いタイミングでこの山に登ったのね」
「どういうことですか?」
「ここは明日から霧が立ちこめて全く身動きとれなくなってしまうの。昔の主人がそのことについて書いているわ。下山するときに持っていったらどうかしら?みたところ探検家のようですもの」
「どうしてここに」
「わからないのよ、私も。ただ私はその当時は生きていたら殺されるところだったらしいわ。王族の3番目の娘だったんだって…今となっては時効ものね」
「そういうことでしたか。しかしそれではなぜその方は非難を受けることを覚悟で」
「さあ、話し相手がただほしかったのかもしれないわよ。実際私も退屈しているわ…一晩でいいから、いろいろ話してくださいな」
そうして彼女は探検家の話をじっと聞いていた。すべてはなし終わると自然に朝になっていた。
「ちょうどいいところに一つだけかぶらないルートがある。そこから下山なさって」
「本当にありがとうございました」
「いえいえ、こちらの方が楽しかったわ」
そういう風にして下りて、やがて山の様子はその本の通りだって言うこともわかり、ただ一つだけ、それは違うものがあった。
探検家が初めて訪れたときにはなかった血痕が、しかも訪れるよりずっと前に流れていて(鑑定の結果わかったこと)、そして女性はすでに風化していなくなってしまっていることが。
しゃべりたい、そういう感情が募ったのだろうか。この本の著者、アレンが亡き後の会話相手をほしがっていたのだろうか。
ただ1つ言えるのは、彼女は200年前の故人であること、だ。
作品名:BSS63 Rosso 作家名:フレンドボーイ42