DAYDREAM BELIEVER
６．掌で虹を吹く
嵐のあとの丘の上で
ひそやかに咲く秋桜の話をしよう
散り残って傷んだ花弁は
微かな風の惑いも聴きとってやる
さびしいね、という呟きに
そっと頷きながら見送る今日の陽が
褪せた花色のうえに朱をおいてゆく
さよなら、また明日
微笑でいろどられた秋桜は美しい
太陽になれなかった星星はやがて
闇に呑まれてしまうのだけど
消えゆく光を闇は覚えている
溶け入った瞬き一つ一つの鮮烈が
あのつややかな暗黒の源だから
無駄な輝きなどひとつもないのだと
深い場所にいった星達は知る
闇は無ではないし
孤独だって考えようなんだろう
知る限りの絶望
ちっぽけで甘えた悲しみと
凡庸な救い それから
ささやかな優しく温かいもの
きみや、たくさんの忘れがたい一瞬の
美しさの理由を思いながら
ぼくだけの言葉を探している
この手に馴染む不揃いな粒子を
それだけが七色に反射する
いつか掌で虹を吹く日
作品名：DAYDREAM BELIEVER 作家名：かにかま