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３．沈む前に迎えに来てね

並走しながら落ちてゆく陽が
ぬかるんだ道を照らしている
このごろ上手に歩けない

あのころは沢山　綺麗な
花を吐いてふわふわ歩いていられたのに
ちかごろは萎れてくすんだのを
苦心してぽろりと吐き出すだけ

吐けない花がからだに溜まって　重くて
みっともない足跡なんか残しちゃうの
一足ひとあし　深くめりこんでいくのよ
そのうちあたし埋まっちゃうわね

泥塗れの花を靴跡に咲かせ
終わりゆく陽のゆらぎに眩暈を誘われながら
地面にあらがい
ぶざまに歩き続けるのはあなたに会うため

ああ
あなたは今どこにいるのかしら
あたしを探してるんでしょうね
早くいらっしゃいよ

沈む前に迎えに来てよ
踏みにじられた花と
くずれた靴跡を辿りながら
沈む前に迎えに来てね
いつものように
あたしのどんな花も拾って食べながら
沈む前に
あたしの手をとって抱き上げてちょうだい