BSS20 大人になった日
まじめすぎた、というのが彼の印象か。まじめ故に法律を遵守し、学内のルールも遵守し、およそルールであれば何でも遵守し、そしてそれ故に周りの違反も許せず、それが窮屈となっていた。皆、感じていた。奴さえ消せば、楽園が訪れる、と。皆、信じていたのだった。
「なあ、森吉、ちょっと酒飲みにいかねえか、お前もうきょうで20だろ?お前も堅かったけれど、もう飲んでいいんだろ?」
「あ、…うん、まあね」
「よしいこういこう」
周りの仲間に半ば連れ去られるようにして居酒屋に入る彼。そして悪夢は始まる。
酒を次々についでいくなかで、さすがに限界を感じたかトイレに行き、帰ってくるとさすがにもう酒はつがず、安心しきって目の前の料理を食べる。
そして食べて盛り上がっている間に彼は気を失っていく。
「さすが酒の味を知らない森吉」
「いや、気付かなさすぎだろ」
「まあ、まあいいんじゃねえか」
「そうだな。よし」
彼らは最寄り駅まで連れていき、ベンチに彼を座らせ、電車に乗って一駅先に行く。そして戻りの電車に乗り、後ろに立つ。
彼は少し意識を取り戻したようだ。彼らは必然的に、下がる。そして、次に線路の方向へ歩き始める。そのまま、列をくむと、その方向に彼も来た。暗闇で前にいるのが友人かどうかなどわからない。そもそもどこにいるのかすらわからず前に歩いていく。彼らは彼から離れた。そして、離れてから10分して彼ははたして線路に落ちた。ちょうどタイミング良く電車が来た。客の少ない駅だ。彼らは買っていた見送り用切符を取り出して階段を登っていった。
作品名:BSS20 大人になった日 作家名:フレンドボーイ42