BSS59 靜死・船上・夜間・不安・苦慮
夜に僕は家族を殺されて、それ(=家族を殺した犯人)が一大犯罪組織(の、厳密にはボスが指示して側近どもが殺した)だとわかって、僕はいくら彼らの裏切り者とはいえ、間違った方向に行って是正しなかった向こうの責任だと考えて、父親の作らされた薬を、作るときのデータをもまとめて消して、そして犯人たちを追跡する旅にでたら、この通り彼女が現れて、どういうわけか同行しているので、おそらく密通しているのではないか、と思っているのだが、だからこそ殺したいわけだがこの娘はまったく、殺されないすべを心得ている、というか、誰だって体に触れている少女を殺すのは忍びないので(まあ、精神のねじが1、2本はずれていればできるかもしれない。女性をソーダで苦しめた奴も、ソファに座らせて絞殺した奴も、サーカスで女を殺して楽しませる奇術師・楽しむ客どもがいるくらいだからな)全く殺せずにいる。
「素直に言ってくれ」
「…まあ、あなたの思っている通りよ…だけど教えられない」
「なんでだよ」
「だって向こうのボスって怖いんだもの…教えたらまず私死ぬからさ…接近してあなたの情報でも教えていないと殺されちゃうの。私は人質なんだから」
「あ、そうですか。まったく…いずれ殺してやるからな」
「まあ、まあ、それはあいつを殺してからにしませんか」
「そしたらお前を殺す理由がなくなって逃げられる、ってか」
「それもあるけど」
「俺はそれほど甘くない。皆殺しするつもりだからな」
「そうですか…まあ、殺す前には、なんかかわいい服でもかってよ」
「…こいつ」
わかってはいる。こいつ、いろいろ接近してくるなんて理由は大体そんなところだろう、とは思うのだが、どうしても殺さなかったら気が済まないわけで、逃げるなら娘r須磨で追い回すつもりだから、もう油断しないでほしいのだが、そして、もう一つ言っておこうか。
ボスは今日、今船上で倒した男であることなど、とうに知っている。まさか彼が一番弱いと思わなかったが。もちろん警戒を解くわけにもいかないのだが、今のところ生き残りは彼女だけである。
「どうするつもりだ」
「ああ、もう本当に意地悪ね…いいよ、じゃあ絞殺してよ」
「イヤだ」
「なんで」
「…殺したい相手を殺すのに、絞殺は惨いからね」
「じゃあ体に傷を付けるつもり?」
「…」
「「「!!!きゃあああ!!!」」」
「これしか傷つけずに殺す方法はないだろう」
ショック死。脳を速く振ることで脳に影響を及ぼせば終了だ。これしかないだろう。
せめて、彼女が血を流したりするのはみたくなかったからだ。
血を流すのは、僕だけでいい。僕は手首を切って、その血を彼女の口に含ませた。
作品名:BSS59 靜死・船上・夜間・不安・苦慮 作家名:フレンドボーイ42