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フレンドボーイ42
フレンドボーイ42
novelistID. 608
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BSS44 死、翅、止

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蝶。
 昼の間飛び回り、優雅にひらひらと舞うような、葉っぱのような蝶、そして夜をかげながら飛ぶ蛾。フランスでは両方とも同じ語で表すんだそうだ。確かに飛ぶ時間帯と形はかなり異なるが同じ種類の生き物である。この時期にもひらひらひらひら優雅に飛んでいるが、それは蝉ほど疎まれず、蟻ほど忘れられず、時に美化され擬人化の時には必ずと言っていいほど処女の女王に描かれる蝶。
 皆が美しがる蝶、美しいと羨み妬み嫉み、時にそれを恨み辛み、自らに照らして嘆き、自殺するものまでいるほど美しい蝶はしかしながら昔罪人だった。だからこその美しさなのかもしれない。まじめな女よりも不埒な悪女を好む男が増える世の中にあって、オヤジは黒髪より金髪を好む終末。
 その翅をつかみあげ、毟る。毟って落とすとむなしく落ちる朽ちる蝶。
 処女に痛みだけを与えるオヤジは蝶を毟ることが世の中で一番大好きだ。

 やがて、哀れな処女たちの翅をあらかた毟りたおしてオヤジどもは東亜を離れ自国に帰る。
 翅が止まっている。

 死して、止まっている。