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フレンドボーイ42
フレンドボーイ42
novelistID. 608
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BSS45 Enigma

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見つかってしまいそうだ。なのに見つからない。エニグマ、それが彼のコードネームだった。見つかってしまうギリギリ前まで挑発をし、それでも捕まらない天才のシーフ。それがエニグマ。謎の、存在。そんな彼が盗むものは、金銀でもなく、命でもなく、ましてや財宝でもない。彼が盗んでいくものがある場所は、きまって、金融業のオフィスにあった。…借用書。
 彼はなぜ借用書ばかりを盗むのか。ただわかるのは借用書がなくなれば借金自体は徳政令の様にさっぱり流れるわけで、借金取りにしてみたら脅威であった。
 借金が次々にチャラになってゆく。
 貸した金が返ってこない。
 日に日にリストラが断行され、失業者が金を借りては、また借用書が盗まれる。
 そして、国の人々がだんだん働かなくなっていく。そしてそのおかげで、食料品も日用品も嗜好品もなくなり、そして国はますます貧窮を窮めていく。いつしか人間は野生化していった。なかったはずの本能を作り出し人間は野生の猿のようになってしまったその国の姿。

 これがビジー・ビー対策だ。
 「よくやってくれたよエニグマ君」
 「いえ、大統領、その意に従ったまでですから」
 「そんなことをいわなくていい。これで…我が国が最強に返り咲いた、な」
 「ええ。またどこか用がありましたらお申し付けください」
 「うむ、頼みたい国はかなりあるが、まずはゆっくりやすんでくれたまえ。食事も用意している」
作品名:BSS45 Enigma 作家名:フレンドボーイ42